大反響 文庫化決定 18刷
◎ 大和書房
「古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家」
1/28読売新聞書評、産経新聞、毎日新聞、東京新聞、NHK、TBS、文化放送、クロワッサン、プラスリビング、ニューハウス、女性自身、LEE他 各誌 絶賛の一冊!!
(読売新聞の書評)
「古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家」
井形慶子著
隣の芝は緑に見える。こんな言葉がある。たしかに他人の物、外国の物はよく見えるということがあるものだ。しかしこと家、町並みに関するかぎり私は著者に同感である。本書の内容は単刀直入、著者の考えはタイトルに遺憾なく明らかにされている。 日本の一人当たり国内総生産(GDP)はイギリスの二倍近い。しかし日本人はイギリス人より二倍豊かだと胸を張って言える人がどこにいるだろう。日本のどこがおかしいのだろうかと周りを見わたせば誰もが住宅や町並みの貧しさに気づくのである。半年ほどだがイギリスで暮らした私も著者と同じ感想をもった。
恒産なければ因(よ)って恒心なし、という。家はわれわれ人間にとって最も基本的な恒産である。日本はまだ普請中だ、と鴎外が呟(つぶや)いてから百年近く経って、今なおまともな家もなく町並みもなく普請中では困るではないか。そうしたことを細やかな観察を通して教えてくれる本である。
(大和書房、1,600円)
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日本人が持つ
イギリスへの憧れを
家づくりから
解き明かした衝撃の本!!
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『古くて豊かなイギリスの家
便利で貧しい日本の家』
井形慶子著 大和書房刊
四六上製/240頁/定価(本体1,600円+税)
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40回以上イギリスに行った著者は、なぜこれほどイギリスに魅かれるのかを考え始める。---その理由が見事にわかる一冊。井形シリーズの中でも、あなたの暮らし方そのものが変わる最高のノンフィクション。
「古くて豊かなイギリスの家・雑感」
日本の家や街並みは貧困だ。
あるイギリス人は「耐乏住宅」と驚き、長くヨーロッパに暮らす日本女性は「プレハブ」だと帰国するたびに嘆いていた。
私達はそれなりにインテリアやガーデニングに熱中し、都市部にはセンスに溢れる家が多いと思っている。数多いインテリア雑誌をめくれば、どの家も考え抜かれた食器や服の収納が天井裏から壁面、床下までビッシリだ。テレビカメラ付きのインターフォンやボタンを押すだけでいつでもスタンバイの浴室。そんな便利さや快適さに、「これでよし」と満足していた人もヨーロッパ、特にイギリスの古くて成熟した街並みを見たあとは「ちょっと違うんじゃない」と、わが家の在り方を疑ってしまうだろう。
年に数回、取材や余暇で渡英する私もその1人。
羊の群れや童話の挿し絵のように連なる丘陵よりも、名もないイギリスの小さな街や村に、ある時期からとりつかれてしまった。教会を取り囲むように広がるに商店街(ルビ:ハイストリート)とその周辺にひっそりと連なる住宅地(ルビ:レジデンシャルエリア)。狭い路地を歩けばパブリットフットパス(遊歩道)の表示が民家と民家の間に立っている。
そこを進むと古い石橋のかかる小川が流れて、水辺の縁には緑地帯が続き、川から上がってきた鴨や白鳥が芝生で小休止している。買い物袋をぶら下げたお年寄りはベンチに座りそんな景色にくつろぐ。わざわざ公園に出かけなくてもイギリスの町や村には感動的な風景が詰まっている。
「夢みたい。こんな街に住みたかった!」
これまでずっと自分の家の敷地内のことしか考えてこなかった日本人は、恐らくその瞬間ノックアウトされてしまうだろう。そのせいか、こんな名もないイギリスの住宅地で最近日本人観光客とよく出会う。どの人も石づくりの古い家の前に立ち、ため息まじりでビデオを回している。
悲しいかな、わが国日本にこんな住宅地や街並みは残されていない。木造の古い家は価値がないとばかりにどんどん取り壊され、土地を小さく区切った建て売りや雑居ビルに、街は見るも無惨な姿になってしまったからだ。
ところで、イギリス人は築100年以上前の家を補修しながら暮らしている。家は持った時が始まり、理想の家は時間をかけて作り上げるものだと考えるからだ。
古い家だから水道管や給水システムも昔のままで水圧も弱い。バスタブの蛇口からはいきなりお湯の代わりに水が出たり、シャワーは霧雨のようだ。ところが、イギリスではそれが住みにくい、どうしようもない家という評価にはならない。古い家の愛すべき個性だと受け入れる。こんな考え方は、昔ながらの不便な家を「古家、価値ゼロ」と捕らえる日本人には理解できないかもしれない。
また、イギリス人は家の方位についても日本人とは違う考えを持つ。
イギリスでは南向き信仰はないのだ。むしろ陽の当たる南向きの部屋は家族同様の大切な家具が傷むという理由で好かれない。決定的な差は夫婦の寝室を見れば分かる。家の中の最高の場所、最高の条件の部屋を決して子供やお客さんには渡さない。夫婦のパートナーシップが一番重要だと考える価値観は、家を見れば明らかに反映されている。
私達の家はHouseではなくHomeだとイギリス人は胸を張って言う。家を中心に展開される質素で上質な暮らしを誇りにしているからだ。そんな彼らを前にすると、余りにもコザコザした考えに捕らわれ「こうでなきゃ」を連発する私達は二度と取り戻せない大きな落とし物をしてしまったのではないかと不安になる。
もし今度イギリスに行く機会があれば、そんな目を持ってかの国の家や街並みをながめてほしい。そこにはきっと、ワーズワースやシェークスピア以上の感動的で深いイギリスの一面が見えてくるはずだから。
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●フォトギャラリー |
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自然の中に溶け込む家‥‥ |
そこには
人生を誇る人や動物が
同じように暮らす。 |
こんな瞬間も喜びであり‥‥。 |
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本の世界にこそ
刺激はつまっている。 |
ハイストリートに出ると
店先の品物はほとんど
変わりばえしないけど誰か
に会える‥‥。 |
自宅にもどる途中、
ニューススタンドやパブでひと休み。
ビールで喉をうるおす。 |
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いつも変わらぬ愛する街。 |
何もないけど、
変えたくない喜びが
この街につまっている‥‥。 |
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●取材手帖の中から |
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住宅地のはずれに田園風景が
広がるイギリス。 |
本書の中にも出てくる
ブレックファーストルーム。 |
イギリス北部のタウンハウスは
1,000万円台から購入できる。 |
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著者の家のモデルになった
イギリス・カンブリア地方の家。 |
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イギリス人は歩くのが好き。
こんな風景に出会えるなら
ずっと外にいたい。 |
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本書の中に書いたが、
ステンドグラスなど部材が
豊富なイギリスはインテリアに厚みがある。 |
イギリスのキッチンから
作り出される料理はいたって
シンプル。 |
イギリスの家のカーテンは
大きなフリルのバランス飾りが
ついている。
それが暖かいイメージをかもし出す。 |
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ベッドルームの壁とカーテン、
ベッドカバー、シンプルとは逆の
テイストがイギリス的。 |
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あるイギリス人家庭で余りに
すっきり並んでいて、美しかったので
撮影したショット。 |
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マンチェスター近くの住宅地。
車の向こうに見える家は
5年前で6,000万円台だった。 |
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去年出版した
「個性的な家をハウスメーカーで建てる」
(ミスター・パートナー刊)とは全く 異質のノンフィクション。
あの時は多くの雑誌で取材してもらった。 |
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現代の日本人の置かれている悲惨で行方知らずな状況を、これは何だろう、どうして日本はこんな変な国になったんだろう‥‥と考えた時、やはり思いはイギリスにもどっていった。家の本というより、日本とイギリスの違いがどこからくるのかその根底を住宅を通して書いた本です。イギリスファンの人に絶対読んでほしい1冊です。
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