新時代のヒットの予感!! 2020


ミスター・パートナー
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代表取締役社長
田中啓一 さん
1964年、松阪市生まれ。地元工務店にて現場監督、設計業務の経験を経て、 2003年『株式会社エラ・プラン』を設立。木のすまいづくりの最先端の理論と実践を学ぶ『みえ木造塾』のメンバーとして活動し、 三重の木を使った現代的なデザイン住宅を提案し続ける。 趣味はウイスキー(アイラ・モルト)。A型、乙女座、辰年。
美しく温かい木の家の設計に光る
木・景・風・光・繋・触のコンセプト

三重県産材を厳選使用
心地いい居場所を追求


 リビングの前面に広がる幅が3mほどの板張りのデッキに若い夫婦が座り、「こんな素敵な家に住めてよかった」とでも言っているかのように、眼前ののどかな田園風景を見ながら幸せそうに語り合う。建築設計事務所『株式会社エラ・プラン』の代表取締役社長田中啓一さんが設計した民家での一コマだ。田中さんが設計でこだわるキーワードは、木、景、風、光、繋、触。それぞれのコンセプトに沿って住む人たちの夢を叶えていく。
「住まいづくりとは、住む方たちのライフステージの構成要素をふまえつつ、家族に対して思いやり、笑顔が集い、豊かな心で、いつまでも仲良く暮らせる、そんな恒久で心地いい居場所をつくることだと思っています。その目標に向かって、お客様と話し合いながら設計を考えていきます」
 この中で重視するキーワード6文字から、田中さんの建築理念が明確になる。木は「伝統的な木組みを活かした木造軸組工法と三重県の山で育った木材を使うことで長く愛着を持ってお住まいいただける家づくり」、景は「住宅を建築する敷地だけでなく、周辺環境を読み取り、協調する思いを大切にプランニングすること」、風は「その土地に合わせて自然に風が室内を通り抜けるような居室のレイアウトや南北の窓の位置を考えプランニングすること」、光は「軒を深く出すことで、夏の強い日差しは遮り、冬の日差しは室内に取り込むこと」、繁は「リビングに隣接してウッドデッキを設けて外との繋がりをつくり、楽しみの場としての機能や部屋の広がりを感じさせる視覚的効果を持たせること」、触は「柔らかく足触りがいい杉を床材に使い、快適さを付加すること」をそれぞれ意味するという。
 中でも、木へのこだわりは強く、建築に使う木材は、じっくり時間をかけて乾燥させた美杉の葉枯らし自然乾燥材や尾鷲ヒノキ。美杉の乾燥材は粘りや色艶、耐久性、殺菌・浄化作用、鎮静作用、調湿効果などの特性を持つ。尾鷲ヒノキは輪が緻密で油分が多く光沢があり、耐朽性にも優れている。田中さんは地域の林業生産者と信頼関係を築き、加工する前にしっかり吟味し、厳選したものを構造材や床材に用いて、無垢材特有の経年変化が楽しめる香り豊かな「美しく、温かい、木の家」に仕上げていく。
 家づくりの面白さに目覚め、ほぼ独学で建築士の資格を取得したという田中さん。社名のエラ(時代)に込めた「時代を刻むような建築物を残したい」との思いは、理想の居住空間で暮らす人たちの人生に深く刻まれる。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 エラ・プラン
TEL/059-238-0955 Eメール/ info@eraplan.com
ホームページ http://eraplan.com/

建物状況調査で、随時住宅の劣化や欠陥の有無、改修すべき箇所など見極めることが可能。

代表取締役
唐澤政彦 さん
不動産会社に長年勤務した後、30歳を過ぎて工務店に転職。40歳過ぎに一級建築士の資格を取得、独立して2010年、『唐澤建築設計一級建築士事務所』を設立。2017年に法人化。一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。
建物状況調査で示す建築家の実力
経験から建物に潜む危険性見抜く

年60件超の住宅を検査
新たな不動産事業の柱


 少子高齢化の影響で増え続ける空き家。その解決策となる中古住宅市場の活性化で重要度を増しているのが、中古物件として売り買いする際に劣化状況や欠陥の有無、改修すべき箇所などを確認する建物状況調査、英語でいうインスペクションだ。これを月平均5件、年間約60件も実施して存在感を示しているのが『株式会社唐澤建築設計』の代表取締役で一級建築士の唐澤政彦さんだ。大手不動産会社の欠陥住宅が社会問題化する時代、その役割は大きくなる一方だ。
「以前は、インスペクションは法律に基づくものではありませんでしたが、宅地建物取引業法の一部改正によって平成30年4月1日から宅建業者に対し建物状況調査の結果について買い主への説明を義務付けることになりました。その骨子は、宅建業者が媒介契約の締結時に売り手に対して建物状況調査の意向を確認して、①媒介契約の締結時に、建物状況調査事業者の斡旋に関する事項を記載した書面を依頼者に交付する ②買主などに対して、建物状況調査の結果の概要などを重要事項として説明する ③売買などの契約の成立時に、建物の状況について売主、買主双方が確認した事項を記載した書面を交付する、との3点を義務付けるものです」
 このインスペクションの実施件数が多いのは唐澤さんの実力による。
「私は、建築士の資格のほかに施工過程での施工計画、工程管理、品質管理、安全管理の専門家である一級建築施工管理技士の資格も持っていまして、実際に建築現場で様々な状況を見聞してきました。その経験から建物に潜む危険性への嗅覚が磨かれました。外科医が体の中まで熟知していることで内科的な知見も持ちやすいように、例えば建物の外観を見て、壁の中がどんな状況になっているのかがイメージできるのです。これまでに今までに350件ほど調査をしてきましたが、その調査過程で、それまで気づかなかった欠陥が判明することが多く、中には火災や家の崩壊になりかねないものが見つかる場合もあります。床暖房の配線がむき出しになっていたケースや建物の基礎部分に換気扇を取り付ける工事が雑だったため、基礎にヒビや隙間が生じていたケースもあります。ある調査専門の社団法人の調査で問題なしと判定された建物に、私がセカンドオピニオンとして調査に入り、ひどい雨漏りを発見したこともありました」
 施主が思い描く夢や理想を快適な住空間や商空間に具現化する建築設計で業績を伸ばしてきた唐澤さんは、新たに不動産事業にも乗り出し、ハウスメーカーの規格品にはない魅力を備えた新感覚の建売住宅の販売と並んでインスペクションにさらに力を入れる考えだ。
「中古住宅に対する消費者の不安を解消するためにも、今後増える調査に対する需要にしっかり応えていきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 唐澤建築設計
TEL/03-5935-4410 Eメール/ karasawa@kac-tokyo.jp
ホームページ http://www.kac-tokyo.jp/

代表取締役
田向定雄 さん
不動産会社勤務を経て、1988年『いわて不動産』設立。2000年、株式会社化。宅建マイスター・フェロー。宅地建物取引士や米国公認不動産経営管理士など20超の不動産関係資格保有(CMP、相続3種、○○鑑定2種ほか)。
大災害の多い日本 不動産業者として
タイムリーに地域に役立つ提案と行動

行政や金融機関と連携
地域活性化とお役立ち


 収益を生まず、負の資産と化した不動産、いわゆる「負動産」に新たな命を吹き込み、地域活性化に寄与する異色の事業で声価を高めてきたのが『いわて不動産株式会社』の代表取締役田向定雄さんだ。国交省登録の講習機関、不動産流通推進センターが認定する最高位の宅地建物取引のエキスパート、宅建マイスター・フェローの肩書きに裏付けられた知見と調査・分析能力、広範な人脈をフルに生かし、「負動産」の利用価値を探り、地域に役立つ提案と行動。
 田向さんが今力を入れているのが事情により凍結されている未利用地の活用。第三セクターの物件、市街地の空洞化や利用されないまま放置され、不良債権になった土地と建物。破綻し、放置された事業用物件と法人。利用価値、将来の可能性の分析などから利用方法を見出し、法律上の課題、権利関係を押さえ、収支予測を立てた上で新投資事業者を想定して活用案を提案、債権者、債務者、裁判所、担当弁護士など関係者の協力と同意を得る周到な段取りで活用計画を実行してきた。
 田向さんは創業直後、バブル経済の崩壊による企業の倒産で「負動産」が大量に発生したことに着目、「同業他社が行っていない、資金がなくてもできる仕事」と考え、金融機関や司法などと連携し、「負動産」の流動化に向けて適正な物件調査や価格査定、価値向上のための運営内容の提案などのコンサルティングに取り組むようになって30年以上。
 これまで、商業地の空きビル活用や商業ビル・ホテル・旅館・工場のコンバージョン提案、競売で競落されない物件等を中心に、債権者、債務者、金融機関からの依頼や、管財人、清算人、弁護士との連携によって、さまざまな負動産の処理を行ってきた。
 2011年の東日本大震災の際には、休眠状態だった郊外の大型商業施設(敷地面積約9000坪、建物11棟)を活用し、被害者とボランティアの受け入れ先となるような簡易宿泊や休憩施設、温泉施設、ネットカフェ、飲食店などによる施設にコンバージョンするという被災地を救うための事業を新たな事業主を見付け出して提案、同年の開業に導き復興に寄与した。
 被災者と応援者の為の休憩宿泊施設(約500人分)のほかに入浴・食事・娯楽施設の緊急設置、また県内のJR駅周辺に立地する休眠状態の工場(ダイオキシン・PCB・土壌汚染・石綿・産業廃棄物、地耐力不安など)をクリアして跡地(約1・8ha)を市と地区の望む定住人口増加のための宅地として分譲(約1ha、全41区画)するプロジェクトにも取り組んだ。破産して放置 されていた「負動産」を活用したもので、担保権者の銀行と市と地域民の応援のもとなんとか事業化できた。
 実績は、北海道から東京・兵庫県までに対応してきた。
「負動産の活用を見出すことは、地域や社会貢献にもつながると考えています」と事業に掛ける意欲は強まる一方だ。
(ライター/斎藤紘)

いわて不動産 株式会社
TEL/019-622-2400 Eメール/ mail@iwate-f.co.jp
ホームページ http://www.iwate-f.co.jp/

代表
平木康嗣 さん
学業修了後、メーカーで約15年、ものづくりに専念。「より人と触れ合える仕事に挑戦したい」と独立を決意。会社に勤めながら学び、行政書士と司法書士の資格取得。2016年、『司法書土行政書士オフィスウェールム』設立。
相続手続きの処理で示す実力
2つの資格が担保する専門性

相談者に親身に向合い
複雑な手続き一括代行


「ドラマのようなフィクションではなく、現実にこれほどの悩みを抱えていらっしゃる方がいるのかと痛感しました」
 司法書士と行政書士のダブルライセンスを持つ『司法書士行政書士オフィスウェールム』の代表平木康嗣さんが相続問題に取り組み始めた当初の感想だ。以後、利害が複雑に絡む相続問題で悩みを抱えた相談者の声に親身に向き合い、幅広い専門知識を生かして解決に導く意思を強め、実務で実力を示し、相談者に笑顔をもたらしてきた。
「高齢化と相続税増税が相まって、相続問題に対する関心が高まっています。当事務所には、相続をしたが、自分名義にするための手続きはどうしたらよいか、遺産に負債が多く、相続を放棄したい、遺言書を作りたいが、何を書いたらよいか分からないといった相談が増えています。一つひとつの悩みに対し、ご提案の内容によってお客様の人生が変わるのだという責任感を持って、真摯に向き合っています」
 相続に関する実務は、相続登記から遺産分割協議書作成、遺産承継手続き、遺言執行、相続放棄まで幅広く対応する。相続登記では不動産を相続したケースに注意を要するという。
「不動産の所有者が変わるときには、名義変更のための登記手続きが必要になります。不動産の所有者が亡くなったときの相続人への名義変更は、相続人の調査、遺産分割協議書の作成などの複雑な手続きが必要になる場合が生じ、法律的な知識がなくては、後々トラブルに発展する可能性もあります。権利関係が複雑な手続きでお困りなら、司法書士として手続きを代行することで問題解決をサポートできます」
 遺産承継や相続放棄の複雑な手続きも一括して引き受ける。
「相続に関する手続きは、保険金の請求、預金口座の解約、名義変更、株式等証券の換価の手続など数多くの手続きがあり、それぞれ異なる取り扱い機関に個別に手続きが必要です。ご自身で対応することが困難な場合は、遺産管理人となって適正に処理します。また、遺産の中に多額の借金がある場合、相続放棄をすることができますが、プラスの財産も含めて一切の財産を相続しないことになります。相続放棄をするには、原則、相続開始を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があるため、慎重かつ速やかな対応が求められます。そのための必要書類の収集など手続き全般を支援します」  ラテン語で真実と帆を意味する二つ単語から命名したという事務所名には、「海原に漂う船を進ませる帆のように、お客様を導く推進力になりたい」との平木さんの思いが込められている。
(ライター/斎藤紘)

司法書士行政書士 オフィスウェールム
TEL/045-620-2373 Eメール/support1@office-verum.jp
ホームページ https://office-verum.jp/

中小企業庁認定の経営革新等支援機関に認定。音瀬泰彦所長の似顔絵。世界似顔絵大会で優勝実績のあるクリマイスター氏の作成。

所長
音瀬泰彦 さん
大学卒業後、自動車会社に就職し、会計・経営のノウハウを学ぶ。28歳の時、父親が1962年に開いた税理士事務所に入所、税務などの実務経験を積み上げ、1995年に税理士登録、『音瀬泰彦税理士事務所』として経営を承継。AFP資格保有。2015年に経営革新等支援機関に認定。
民法の相続法改正の要点に注目
これまでの通念からの脱却促す

高齢配偶者保護に重点
介護親族の貢献度評価


 約40年ぶりに大幅に改正された民法の相続法が2019年7月から施行された。時勢に合わせた的確な助言で企業を支援してきた『音瀬泰彦税理士事務所』の所長音瀬泰彦さんは、高齢化に伴う社会の変化に対応した今回の改正には、これまでの通念を離れた新たな視点で向き合うことの重要性を指摘する。
「今回の相続法の改正は社会の高齢化に伴い、相続開始時の配偶者の年齢が相対的に高齢化し、保護の必要性が高まっていることに配慮したもの」といい、主な改正点についてわかりやすく解説する。

◇配偶者居住権◇
「配偶者が現在住んでいる家にそのまま住み続けられる配偶者居住権が設けられました。これまでも、配偶者が自宅の所有権を相続すれば住み続けることは可能でしたが、その分、遺産分割で得られる他の財産は少なくなってしまいます。配偶者居住権を利用すれば、自宅に住み続けることもでき、生活資金も確保できるようになりました」

◇住居の贈与◇
「結婚期間が20年以上の夫婦に限定されますが、配偶者間で住居を生前贈与してもこれが特別受益と評価されず遺産分割の計算対象から外れることになりました。改正前は、配偶者に自宅の贈与をした場合、遺産分割で受け取ることができる財産の総額がその分減らされていました。改正で配偶者は、生活を安定させることができるようになります」

◇銀行口座◇
「被相続人が亡くなった時点で、遺産は相続人全員によって共有している状態となり、銀行の口座は凍結され、勝手に預金を引き出すことはできず、生活費の確保や葬儀費の支払いに支障を来すケースが少なくありませんでした。改正では、遺産分割協議が終わる前でも預貯金を家庭裁判所の判断を経なくても150万円を限度に金融機関から引き出せる仮払制度が創設されました」

◇介護貢献◇
「相続人ではない親族が被相続人の介護や看病をしても、遺言がない限り報酬や遺産の分配にあずかることはできませんでしたが、無償で被相続人の介護や看病に貢献した場合には、相続人に対し、金銭の請求をすることができるようにしました」

◇遺言書◇
「これまでは自筆証書遺言は自宅で保管するか、弁護士に預かってもらうしかできませんでしたが、2020年7月から法務局で保管してもらうことができるようになります。また、自筆証書遺言が見つかった場合、相続人全員が立ち会いのもと家庭裁判所で検認という手続きが必要でしたが、改正で検認手続きが不要になりました。さらに、手書きが求められた自筆証書遺言の財産目録の部分もパソコンなどで作成できるようになりました」
(ライター/斎藤紘)

音瀬泰彦税理士事務所
TEL/088-622-8008 Eメール/ support@otosetax.jp
ホームページ http://otosetax.jp/

専門家の業績を紹介するマスコミサイト(マイベストプロ青森)に掲載したコラム「アベノミクスを特許のデータから検証する―消費税10%の苦境に如何に対処すべきか」で鈴木さんは、ノーベル経済学賞を受賞したノルウェーの経済学者フィン・キドランドなどの「技術革新の外生的不規則衝撃が景気循環を引き起こし、生産技術等の実質変数のみが景気循環の要因となる」というリアルビジネスサイクル理論などを紹介、「我が国は1970年から2005年まで36年間特許出願件数の世界第1位の座を保っていたが2006年に米国に抜き返された。2010年には中国にも抜かれ、世界第3位に後退、名目GDPも中国にも抜かれ、世界第3位に後退した関連性に留意しなくてはならない。令和の時代の若手の研究者の奮起による経済の活性化を願う次第である」などと述べている。
「日米欧三極共通出願時代の特許クレームドラフティング」(森北出版刊)
「反骨の風土が独創の力となったのか―明治維新以降の東北地方の科学技術」(パブラボ刊)
「日米欧中韓共通出願様式時代 特許明細書等の書き方 プロフェッショナル・アマチュアのための教本」(発明推進協会刊)
右下:八木秀次先生の精神を示す看板。

所長・弁理士
鈴木壯兵衞 さん
静岡大学工学部電子工学科卒。東北大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。20年間第一線の研究者として活躍した後、1996年、弁理士登録。2010年「そうべえ国際特許事務所」開設。米国電子電気学会(IEEE)終身会員。中国青島大学知的財産権学院名誉教授。
企業経営の視点から知的財産を巡る諸課題に提言
工学博士の精緻な思考回路生かす弁理士

特許出願件数と経済成長の関係に言及
五輪の熱中症対策となる特許技術も紹介


「図1に示すようにGNPとは各産業分野における粗付加価値の総和である。特許技術の進歩により、各分野における粗付加価値を向上させなければ、経済の成長率は次第にゼロに近づき、マイナス成長とならざるを得ない運命にある」
 工学博士の肩書を持つ『そうべえ国際特許事務所』の所長鈴木壯兵衞さんは、企業の知的財産保護に力を尽くす傍ら、経済学や経営学の分野の知見を含めた精緻な思考回路を生かしてこの国の課題についても提言を行ってきた弁理士だ。図2では、経営学者ポーター教授の理論を引用し、技術革新により売り上げ高を上げなければ、企業の利益は上がらないことを説明している。
 また、市民ランナーとしてフルマラソンを2時間53分で走った記録を持つ鈴木さんは、コラムで2020年東京五輪のマラソンコースの熱中症対策も取り上げ、1962年に長岡市の市会議員が実用新案登録した路面の除雪装置で、その後、豪雪地帯に普及し、三条市では夏季の暑さ対策としても活用している散水除雪装置の検討を促している。
 鈴木さんは、東北大学で同大総長も務めた西澤潤一教授の下で20年間中心的研究者として研究した後、、知財の世界に転じ、半導体工学、電子工学、コンピュータソフトウエアなどを専門分野にこれまで主に大企業の特許出願を1000件以上手がけたが、西澤教授の下で実験装置だけでなく、クリーンルームなどの付帯設備も自作していたので、機械工作や建築・土木なども詳しい。西澤教授は、我が国最初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士を叱責した大天才八木秀次先生の系譜であるが、八木先生のグローバルな視野は事務所の看板にも示されている。そのグローバルな付加価値のある英文明細書を書く実力は、米国スタンフォード大学で最も厳格であると恐れられている大教授が、わざわざ来日して会いに来るほどである。大学や経済団体のセミナーの講師も務め、外国との特許訴訟に関して法律事務所から協力要請も受けるほどの存在だ。青森県の要請で設置された日本弁理士会の「会設青森事務所」の運営弁理士として地方の発明発掘にも尽力した。
 年間12回のシリーズで行う特許講座の講師も8年間1人で勤め続けており、安価に特許出願する方法を社会人などに教えている。2019年には、日本弁理士会から功績が認められ、特別表彰を受けている。
「弁理士は、知的財産を守って全力を尽くすことで日本の産業界全体を明るく照らし、社会に貢献できるものと考えます」
 この信念は強まる一方だ。
(ライター/斎藤紘)

そうべえ国際特許事務所
TEL/0172-55-5397 Eメール/ info@soh-vehe.jp
ホームページ http://www.soh-vehe.jp/

上:『アグリソーラー』
(同社の中村驥(はやま)会長が2013年に野菜畑に設置できるパネル組立体と発電装置、2014年にパネル用散水設備を備えた装置を開発、実用新案として登録)。山梨県民信用組合が「アグリソーラー・ローン」を開始。個人の場合、上限5,000万円までが融資可能枠となっている。
横に伸びて短期間で収穫できる“新しい柿”
下:栽培収量を試算した結果では、育成に害のある赤外線を適度に遮る効果もあり、収穫量が3割程度増。


会長
中村驥(はやま) さん
1993年、東京・杉並区で不動産の賃貸・コンサルティング会社『株式会社エヌエスイー』を設立。2010年、農地での太陽光発電の可能性に着目し、架台構造の研究を開始。3件の発明が実用新案登録。2016年、同社の技術顧問に就任。
発明技術でアグリソーラー実現
投資戦略に光る精緻な思考回路

リスク回避に万全の体制
農地の上中下で収入確保


 先行き不透明感がつきまとう日本農業に変革をもたらすと注目されているのが、農地で「作物と電気を栽培する」営農型太陽光発電システム『アグリソーラー』だ。パネルを農地に敷設する専用架台を発明してその実現に道を開いた『株式会社エヌエスイー』の会長中村驥(はやま)さんは、精緻な投資スキームも構築、10kW以上の太陽光発電の場合20年間買取価格を据え置く固定価格買取制度FITの動向を注視しながら甲信、関東、東海を中心に資産家や投資家の参入を実現させてきた。
『アグリソーラー』は、支柱を3m以上の間隔を置いて2・5m以上の高さに立て、架台となる組立体を設置して太陽光パネルを展開、農作業が可能な営農空間を確保する。農地の選定、農地の一時転用などの手続き代行、施工、管理など全プロセスを同社が一貫体制で支援する。投資家が自ら耕作しない場合は、請け負う農業法人などを紹介する。アグリソーラー第1号が完成したのが2014年。以後、契約された農地は100区画。大きな広がりを見せている。
 このシステムを投資対象に推奨する中村さんにお話しを伺った。

─投資家の関心は利回りですが、FITによる買取価格が年々下がり、2019年は14円。この先大丈夫でしょうか。
「当社HPのアグリソーラー物件をご覧になればわかるように、投資利回りは11%から13・18%までのものが並んでいます。ゼロ金利時代にあってこの高利回りは注目に値します。当社が先行投資した物件もありFIT価格が高い物件が数多くあるのも強みです。また、パワーコンディショナの容量以上の太陽光パネルを設置できる装置を導入し、過積載率250%以上を達成、総発電量の最大化を図ったり、ピークカット分の電力を蓄電池設置によって昼間充電し、夜間売電するシステムも導入したりして、FIT価格が安くなっても、それをカバーできるようハード面の改良も加えました。

─ 耕作の面でも工夫を重ねられているとお聞きしました。
「農作物の量から質への転換です。農地に棚を設置し、下部農地ではニンニクやミョウガ、ステビア、白ワサビ、ハーブ類、ブルーベリー、薬草などを育て、棚の上ではシャインマスカットなどのブドウ類を栽培、地上と棚、その上の太陽光発電システムの上中下の3段で収入を増やすアイデアで、当社が農作物の選択と育成技術を提供、トータルで売上金額年間600万円を目標に指導していきます。2018年には、ビニールハウス付きの太陽光発電システムも開発し、選択肢がさらに広がりました」

「基幹産業である農業の発展、耕作放棄地などの有効活用、自然エネルギーの普及、地域活性化などに貢献できる一石五鳥、六鳥のメリットを多くの人たちに知ってもらいたい一心からの行動です。次世代を担う若年層が集まる農地に変っていただきたいのです」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 エヌエスイー
TEL/03-3305-0811 Eメール/ kodamanse@gmail.com
ホームページ http://nse-sun.com/

代表取締役
江連千鶴子 さん
東京大学文学部英文科卒。アクセンチュア株式会社、アリアンツ生命保険会社を経てフリーコンサルタントとして経営・ITなどのコンサルティングサービスを提供。ITベンチャーの取締役を経て、2018年『株式会社SOSEKI』設立。
IT・AI活用の新規事業を支援
中小企業に有用なデータ収集

東大出才女の選んだ道
尊敬する漱石を社名に


「吾輩は猫である」の名作を遺した明治の文豪夏目漱石を尊敬する東大出の才女、『株式会社SOSEKI』の代表取締役江連(えづれ)千鶴子さんは、群雄割拠といわれるIT業界で小さな一歩を踏み出した若き経営者だ。女性が男性の後塵を拝するような社会や組織順応型が重用されるような職場環境から離れ、自身の感覚にマッチする立ち位置を模索した末の自立だったが、事業のコンセプトは明確。情報技術ITや人工知能AIを使った中小企業の新規事業立ち上げに必要なデータの収集だ。
「AI開発で新規事業を起こしたいと思っていながら、欲しいデータは他の企業や一般人にはあっても自社にはないとの理由で新規事業を諦めたりする企業が増え始めています。ウェブやSNS上のデータだけでは不十分な場合が多いですし、そもそも著作権の観点から企業がネットから勝手にデータを取得してよいのかという課題もあります。当社は、企業が探しているデータを具体的にヒアリングし、企業のニーズに細やかに対応、代わりに有用なデータを収集し、企業の新規事業実現をサポートしていきます」
 このほか、ビッグデータ収集システム「crowd studio」を利用して一般の人々から集めた写真やアンケート結果、口コミなどの情報をサービス開発などのために提供するサービス、データを基に事業構想から展開、販促まで全面的にバックアップするプロジェクトマネジメントに加え、連携する企業の協力を得て行う事業として収集したデータを機会学習用に加工するサービス、AIシステム開発やウェブマーケティングなどに精通した企業や高スキルプログラマーなどの紹介も事業の柱に掲げる。
 江連さんは、総合コンサルティング企業や生命保険会社などを経てITベンチャーで取締役を経験した後、2018年に『SOSEKI』を設立した。そのきっかけは、従業員として働き、またコンサルタントとして様々な企業と協業する中で、「自分の人生なのだから、自分ならではの価値を直接、社会に提供したい」と考えるようになったとき、大学時代に所属していたバンドサークルの同窓会があり、世界三大広告賞を始め広告各賞の受賞歴があり、ITやテクノロジーに詳しい同窓生とデータを用いた事業を行う意義をめぐって意気投合したことだった。
「自分でゼロからビジネスプランを描き、判断できるのが楽しく、これからもプラス思考でメンバーと一緒に事業を躍進させていきたいと思っています。世代を越えて、同じ方向を見ながらも自由な感性で共に働ける仲間が集まって働けるような環境をつくり、日本経済に貢献していきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 SOSEKI
TEL/050-5235-7321 Eメール/ otoiawase@soseki.co
ホームページ https://soseki.co/


〒160-0022 東京都新宿区新宿2-15-2 岩本和裁ビル5F TEL.03-3352-8107 FAX.03-3352-8605