平成22年度には、表面温度上昇の抑止効果がある遮熱デッキや、アルミ芯材と一体成形し高強度・軽量化を実現したハイブリットルーバー等を商品化し、更なる新素材の研究開発を続けている。
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耐久性・耐水性に優れた
地球環境にやさしい再生複合材
混迷する現代、大手企業であってもイノベーションを図り、新しいサービス・製品を提供することが、今後の事業の命運を左右する。その中で、多彩な事業と長い歴史をもつ産業ガス業界のトップ企業が、リサイクルながらも高品質の画期的な新製品を生み出した。
創業以来八十年余りの歴史を持つ、産業ガス業界のリーディングカンパニー『エア・ウォーター』。同社は、一般的に「産業ガス」と呼ばれるものを取り扱っているが、その事業領域は非常に広大。一本の木に例えるなら、ガステクノロジーが事業の根幹であり、産業分野・医療分野・ケミカル分野・生活分野へと大きな枝を張り、多彩な周辺技術やサービスなどが枝葉となって、時代とともに成長してきた総合企業である。
今日の企業の経済成長において、技術革新・イノベーションが果たす役割の重要性が増大。現在、他社といかに差別化した革新的な製品・サービスを開発するかが大きな課題となっている。多様な研究開発の方向性を有し、また豊富な知的財産を蓄積する同社では、長野県松本市の「総合開発研究所」を中心としてグループ全体の技術革新を進めている。
そのような技術革新の中で生まれた『ECOROCA(エコロッカ)』は、木材とプラスチックを複合リサイクルして製造した、天然木の風合いを持つ木質系の新素材のエクステリア・インテリア材料。リサイクルプラスチックや使用済み木材を原料として、これらを「微粉砕→混合→成形」して、用途に合わせたさまざまな形状の製品を作る。木質の混合比率は51~55パーセントとして柔らかな木の風合いを実現。また、シロアリや腐朽菌を寄せ付けず、耐候性・耐久性に優れているので、長期にわたって美観を保ち、心地よく使うことができる。マリン施設や空港などの公共施設、一般住宅のバルコニー、学校のキャンパスや福祉施設などのウッドデッキ、緑化スペースのボードウォークなどの環境で幅広く利用。平成22年度長野県循環型社会形成推進功労者『知事表彰』を受賞している。
(ライター/土屋啓)
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