田中工業代表取締役 田中祐一社長。
学校を卒業してから、札幌へ出て、測量を学び、21歳で地元に戻り、他の建築会社で働く。25歳で父親の田中工業に入社して40歳で先代の後を継いで代表取締役へ。
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地元北海道で高い支持を集める
質の高い職人が揃う、信頼の工事店
自然豊かで、食べ物も美味しい。そんな華やかなイメージのある北海道の第一次産業も状況は厳しい。農舎や牛舎の鉄骨工事を行い、第一次産業を支えている『田中工業』の田中祐一社長に取材を試みた。
農舎や牛舎などを中心とし、地元北海道に密着した鉄骨工事を行っている『田中工業』。同社の田中社長は「北海道の景気はよくない。お客様である畜産や農業の現状も厳しい」と表情は険しい。そうなると政治の動きも気になるところだが、2010年秋から交付手続きが始まった農業対策「個別保証制度」にも憤りを感じているとのこと。この制度は生産が低かった場合に補助金を出してくれるが、その代わりにその分の保障費を請求されるというもの。付加価値と利益をだしていけるよう、農業一本で必死に頑張っている農家もあれば、副業として合間で農業をしている小規模農家もある。そうなると、この制度は、副業農家ばかりを助けて、本業でしっかりやっている農家にとって、余計な負担がかかってしまうのだ。これでは、真面目に取り組んでいる農家のモチベーション低下に繋がり、農業や畜産など第一次産業の衰退を促進しかねない。
そんな状況でも、同社がお客様である農家や畜産業者から愛され、仕事を頼まれる理由のひとつが、社長の人柄、そして職人の質の良さにある。「いくら機械技術が進化して、建築の高等技術を機器でまかなう時代になったとしても、本当にいい建物を建てるのに必要な熟練した職人の経験と勘だけは真似できないところ」と語る田中社長。同社では先代から活躍するベテランを含め、20代から60代まで幅広い年代の職人を揃え、高い技術を継承している。そして、北海道の環境を考慮した造りを心掛け、寒さに強く、雪に強い強固で耐久性の高い建物の実現に導いている。「北海道を少しでも元気にしたい」と奮闘する同社の活躍は今後も続いていくことだろう。
(ライター/前川定)
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