その人、その子が持っている感じ方、考え方、家庭環境、学校とコミュニティの関係などの個性やユニークさを尊重し、自閉症や発達障がいの子どもやその家族、サポートに携わる人たちを全面的に考慮した実りあるサービスで信頼を得ている「行動・教育コンサルティング(BEC)」。行動や精神の障がいなどに対する療法として、アメリカで最もポピュラーである「応用行動分析(ABA)」に基づいた行動コンサルテーションおよびセラピーを行なっている。一言で言うなら「行動自体に着目し、何がその行動を引き起こしているか、その行動の結果として何が起こるのか」という因果関係について分析するものだ。『BEC』は、お宅に、学校に足を運び、実際のクライエントの実生活をしっかりと把握することで、適切なアドバイスをしていく。
ABAにおいて、重要なことは、一つ一つ丁寧に強化していくことである。望ましい行動には、「よくできたね」というほめ言葉を与え、そのことで次の行動を強める。また、望ましくない行動には、「これをすると、うれしいことが目の前からなくなってしまうんだ」と認識させることで、次の行動に変化が見られるようになる。たとえば、幼稚園で外で遊ぶ時間を嫌がる園児がいるとしよう。みんなみたいに駆けっこができないから、一人でいたい。でもそれを隠したいがために仮病を使う。そこで、「じゃあみんなが運動するのを一緒に外で見ていようよ」と誘導する。そして、みんなの楽しそうな様子を見たり、「一緒に遊ぼう!」と誘われて仲間に加わったら、褒めて、その子の活躍できる遊びをする。本当は部屋で絵を描くのが好きなら、校庭の砂にみんなで大きく絵を描く。楽しい! とめいっぱい感じ、これを外へ出るたびにすることで、みんなと外で遊ぶことをポジティブに捉えられるようになる。これは、すべての子どもから大人まで応用できるだろう。「これがあるから仕事や勉強をがんばろう」などは、多くの人が考える。
代表の上村裕章先生は、「その子の個性を大切にしつつ、一歩一歩ささやかな進歩も明確に親御さんと共有し、できる限り数値化し記録に残して、一貫したセラピーを続ける。学校を創設するビジョンと共に、ABAを世に広め、誰でも受けられる環境をつくることで、多くの人の希望やポテンシャルを支援していきたい」と話す。一貫した行動セラピーやコンサルテーションが道しるべとなり、その人が自分で変化する方向へ導くだろう。「アドバイスにより、家での小さな行動にABAを反映させることができるようになった」という保護者からの声も多く、子どもや家族にとって心強い存在だ。「成長が目に見えるところが何よりうれしいですね」と語る上村先生の視線の先には、着実に進歩している、そしてこれから出会うたくさんのクライエントの笑顔がはっきり見える気がした。 |