通学用ヘルメット
自転車店を営む家庭に生まれ育ち、ヘルメットのクオリティ追及に全てを注ぎこんで現在に至る河原敏雄さん。後継者にも恵まれ、ヘルメットの更なる進化を目指すという。
※道路交通法第63条の10
児童(6歳以上13歳未満)や幼児(6歳未満)が運転する場合、このその保護者は乗車用ヘルメットをかぶせるように努めなければならない。(平成19年6月14日道路交通法の一部改正により)
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全国の小中学校5000校から信頼される
通学用自転車ヘルメットのパイオニア
「あせらず、気負わず、あきらめず」をモットーに、信じる道をまい進してきた株式会社カワハラの代表取締役・河原敏雄さん。自転車事故防止に貢献したことで"交通功労賞"を受賞。「現状に甘んじず、子どもたちの命を守り家族に安心感を与えるヘルメットを、さらに進化させていく」と日々追及の姿勢を崩すことはない。
50年前から、ヘルメットの販売をしているという岡山県の「カワハラ」。大人からの意見だけでなく、子どもからの意見や要望を取り入れる子ども目線を大切に製造&販売を続け、今では36年間通学用ヘルメットの全国納入実績のトップのメーカーだ。
「子どもたち向けのヘルメットの開発に着手したのは、自転車店を営む父が、自転車で外出中に交通事故にあったことがきっかけです。たまたま寒さしのぎで着用していたバイク用のヘルメットのおかげで、父は大事に至らずにすんだ。ヘルメットのありがたさを、この時ほど実感したことはありません。東京と違って、岡山市のような地方都市では、通学距離が長いため、自転車通学を認めている学校が多いのです。ところが、子どもの重心は、大人より上にあるため転倒しやすいので、事故に巻き込まれやすい。徒歩より危険にさらされている子どもたち、未来のある子どもたちの命を守るためにも、今作らなければ! と心を決めたのです」と河原敏雄さん。
第一歩は、子どもサイズのデザインを起こしてヘルメットの金型を自作し、製造会社に持ち込むところからスタート。当時、相場が4~5000円のところを、普及しやすい1000円という価格を目標に置き、改良に改良を重ねた。始めは全く相手にされなかったそうだが、日本全国の自転車通学をしている地域のほとんどを訪ね歩くという地道な努力が実を結び、次第に普及していく様を肌で感じることができたという。広く普及することを信じ、更なる改良をし、強度を維持しつつも通気性が良く、洗濯や付け替え可能なスポンジを内部に装着するなど日々進化させてきたのだ。現在では通学用だけでなく、スポーツ用、サイクリング用やカラフルで軽量な子ども向けのヘルメットも製造販売している。
(ライター/深井みさわ)
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