学徒出陣を体験した著者・中村百亨が、戦後60年を経た日本に警鐘を鳴らす『戦前戦後』。2007年1月に出版された第1号は、アジア地域の植民地における人権問題や、当時の兵隊の苦行が、現場の声として切々と綴られている。
戦前「大東亜戦争」と呼ばれていた戦争が、なぜ戦後になって「太平洋戦争」と呼ばれるようになったのか。決死の志願を申し出ていた当時の兵隊の魂はいったいどこへ消えてしまったのか。歴史上初めての大敗戦の中に隠されたドラマを説き、それを軽視する今の日本に喝を入れてくれる名著だ。
この夏には待望の新刊も出る。北は北海道から南は九州まで、地元の人すら知らない名所を作家独特の感性でまとめあげた旅行記だ。海外旅行ばかり目を向ける日本人が多い中、日本もまだまだ見どころがあるということを伝えてくれるこの本、ぜひご一読を。
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