従来は働く男性のシンボルとして崇められていたスーツだが、シャネルやイヴ・サンローランらによって、働く女性の代名詞としてスポットが当てられるようになってきた。
女性の社会進出と、その戦いの歴史を刻む「女性用スーツ」について考えたい。
社会状況とファッションは密接な関連性を持つと言われているが、女性のスーツはその象徴と言えるだろう。一般的に女性がスーツを着るようになったのは戦後からと言われているが、そのスタイル、機能は瞬く間に多様化していった。
もともと女性のスーツは決して派手ではない簡素なスタイルで、色も単調で全体に地味なイメージのものであった。が、これに革命を起こしたのが、フランスのファッションデザイナーであるココ・シャネル。「どうして女は窮屈な服装に耐えなければならないのか」という積年の疑問への回答として、英国紳士服の仕立てや素材を女性服に応用し、スポーティでシンプルなデザインの女性用スーツを生み出した。
これを皮切りに女性のスーツに対する関心は飛躍的に高まった。男性のスーツが働く男のニーズに応えてその機能性を増してきたように、女性のスーツも女性の地位の向上、スキルアップに合わせてより優雅なものへ、より実用的なものへと変化を遂げた。かつて女性の社会進出のシンボルでしかなかった時代を超え、競争社会を勝ち抜いていくための戦闘性を高めつつある。
今やオフィス街を歩いていても、同じスーツを着ている女性はいないのではないだろうか。ますます多様化していく女性用スーツが今後はどのような時代の象徴を見せてくれるものか、その行方を見守りたいものである。
<Hot Clothing>
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