初回に行われる外壁の点検にて、弊社のソフトを利用したうえで 可視画像で予め三次元化しておくことにより、次回からの点検の際は、赤外線画像のみの撮影と編集で、三次元化の診断が、「早く・正確」に行えることから、工期の短縮と調査費用の軽減が図ることができる。
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きれいに無駄なく写真画像の合成
時代を先取りした三次元解析『建視朗』
近年、多発している建築物のベランダ落下や外壁のモルタル・タイル等の剥脱落下事故を受けて、建設省住宅局建築技術審査委員会では「剥落による災害防止のためのタイル外壁、モルタル塗り外壁診断指針」(平成2年)を制定し、さらに、平成20年4月の建築基準法第12条の改定により、竣工及び外壁改修から10年を経た特殊建築物の全面打診等による点検と報告が義務化された。それらを受けて平成21年には(社)建築設備維持保全推進協会から、実務上、適正な外壁診断を行うための基準書として「タイル外壁及びモルタル塗り外壁定期的診断マニュアル第3版」(平成21年)が発行され、それらのマニュアルに基づいた点検が実施されることとなった。
福島県郡山市の「アーバン設計」では、予てから橋梁やトンネル、コンクリート構造物や斜面防災に電磁レーダー装置や超音波試験器、衝撃弾性波試験器、AE装置、熱赤外線カメラ等の非破壊試験等を用いた点検・調査・診断及び補修補強設計を行っており、中でもモルタル吹付けのり面や建築物の外壁には三次元による調査診断とデーター管理をしている。冒頭の外壁診断は全面打診が基本であるが、打診は足場を必要とし費用と設備が莫大となり工期も長いことから、建物の所有者からは倦厭されている状況である。それに対し工期が短く、設備も小規模で費用が格安であることから今や熱赤外線映像法と部分打診による調査が主流になりつつある。
そこで、同社の三次元熱赤外線構造物診断支援システム『建視朗(けんしろう)』は、建物の外壁のタイルの浮き・はく離を赤外線画像の温度差から診断するソフトで、劣化範囲の特定に精度を求めた場合、従来の二次元法ではレンズの歪みから画像の中心部しか使えず撮影数とデータ処理量が増えるのに対し、三次元法は画像全面が使えることから撮影数及びデーター処理量とも少なく費用を抑えることができる特徴のほか、可視画像の三次元化、可視・赤外線画像合成、立画面作成、劣化判定、劣化図作成、劣化面積計算、12条点検結果帳票作成、外壁診断報告書作成までの一連の作業が可能とした。また、三次元で赤外線画像を貼り付けるため、一般の方にも見やすく分かりやすい画像が得られるのが特長だ。
(ライター/土屋啓)
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