100年安心、伝統の家造り
長持ちの秘密は「木材」と「間の建築」
最近の住宅の寿命は約30年ともいわれる。長期間のローンを組んで購入する人が多いことを考えると、とても残念なことだ。一方で、神社・仏閣・お寺などの日本の歴史的な建造物は、建立後100年を超えているものも珍しくない。最新の技術でつくられた現代家屋の耐久性との違いは何なのだろうか。
「違いは木材にあります」と話すのが『正岡工務店』の正岡千代亀社長だ。世界中で人々はその土地の気候風土に合った住まいを工夫してきたが、日本の伝統的な住まいの基本は「木」。木材は乾燥させても常に水分の放出、つまり「呼吸」をしている。木は切られたあとも生き続け、建物をしっかり支えてくれるのだ。それに対し、近年多く見られる合板などで木を包み込み窒息させてしまう工法では木が死んでしまうのだ。だから耐久性も低くなってしまう。『正岡工務店』では伝統的な日本の家造りにこだわり、しっかりとした大黒柱を中心に太いはりをめぐらせて、木が持つ本来の強度を十分に引き出すことで、金具の補強に頼らず十分な強度をもつ家屋を建てる。「日本建築は『間』の建築です。空間を装飾などで埋めるのではなく、呼吸し生きている木がつくりだす力強く温もりある『間』を大切にしています。また、弊社の大工が一人で使う大工道具は200種類におよび、ときには自分たちでつくり出すこともあるほど道具へのこだわりは強いのです」と、『正岡工務店』の家屋の質の高さの秘密を語る正岡氏。数百年もの長い年月、地震・台風にも耐え得る建築物を生み出した日本古来の伝統の技を頑固なまでにこだわる『正岡工務店』。職人たちの熱いこだわりが、長持ちする質の高い家屋づくりを支えている。
(ライター/奈須美子)
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