ブームの真相 2017


イギリス生活情報誌 
月刊
ミスター・パートナー
〒160-0022
東京都新宿区新宿
2-15-2岩本和裁ビル5F
TEL.03-3352-8107
FAX.03-3352-8605
上左:一般公開されてなく、めったに見ることのできない御神殿
上右:『大稲荷神社』鳥居
下左:2020年オリンピック開催で増々人気の湘南

下右:代表取締役 穐山光鑑 氏
神奈川県出身。宮司を代々担う家系に生まれる。相模工業大学(現湘南工科大学)に在学中はヨット部に所属していた海の男。卒業後、神奈川県の出先機関で商店街活性化などに携わる。宮司を務めていた祖父の体調不良を機に神職に就く。『大稲荷神社』『錦織神社』の宮司。『株式会社湘南パシフィックオーシャンコーポレーション』代表取締役。
宮司の信念と湘南ボーイの夢を形に
郷土の海で洋上葬送とクルージング

 郷土と湘南の海をこよなく愛する宮司として、地域に貢献する神社の存在感を高め、クルーザーによる厳粛な海洋散骨とクルージングを事業展開する会社で西湘地域の活性化に寄与する。

錦織選手の人気で参拝客増える
神社の宝を生かし、地域に貢献


 パワースポットブームの中で、参拝客が増えている神社が、城下町、小田原にある。「だいなりさん」の愛称で親しまれる『大稲荷神社(だいいなりじんじゃ)』。300年超の歴史を感じさせる佇まい、落ち着いた雰囲気に加え、他に例のない金色の御朱印が人気の秘密だ。宮司の穐山光鑑(あきやま みつのり)さんが、プロテニスプレーヤー錦織圭選手の目覚ましい活躍を讃えて、色を朱色から金色に変えた境内社『錦織神社』の 御朱印。「奉拝 西郡大明神 錦織神社」の墨書も宮司がしたためる。心願成就、五穀豊穣、勝利のご利益もあるとされ、最近では特にスポーツの上達を願う人の参拝が増えているという。
『大稲荷神社』は、16世紀の創建とされ、北条家滅亡後、徳川家が小田原城主の時代に稲荷大明神を祀ったのがはじまりと伝わる。本殿の美しい木造彫刻は日光東照宮の「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿レリーフで知られる左甚五郎の作品といわれる。穐山さんは、國學院大學と相模工業大学(現湘南工科大学)で学び、卒業後、神奈川県の出先機関で各地の商店街活性化などに携わった。その最中、祖父から『大稲荷神社』の宮司を引き継いだ父親が体調を崩し、氏子の要望もあって23代目の宮司に就いた。
「錦織神社」の金色の御朱印は、全国でも珍しい七角形の絵馬とともに小田原の観光振興に一役買った。また、『大稲荷神社』は、過去に何度も大地震に見舞われた小田原地域の防災拠点、災害避難所として、自衛隊とも連携し、被災者を受け入れる態勢を整えている。こうして地域貢献に力を入れる穐山さんが乗り出した事業が今、注目を集める。

神社の伝統的な作法で洋上葬
湘南の海を楽しむクルージング


 一隻の純白のクルーザーが神奈川県の平塚新港に係留されている。船舶用高出力ディーゼルエンジンを2基搭載し、客室、キッチン、トイレが備わり、空調設備や冷蔵庫、テレビ、カラオケ、電子レンジもある。穐山さんが設立した『株式会社湘南パシフィックオーシャンコーポレーション』が所有する乗船定員14人の船だ。宮司として執り行う『散骨葬』と、湘南の海でヨットを走らせ、気象や潮流を知り尽くした湘南ボーイの豊かな経験を生かした「クルージング」事業がこのクルーザーを利用して行われる。
「小さいころから湘南に慣れ親しみ、海が大好きで船も持っていましたので、結果的にそれに関係する事業になったという流れです。神社やお寺で海洋散骨を手掛けているところは聞いたことがなく、全国で初めてではないかと思います。クルージングは、サザンオールスターズなどの影響もあって、湘南に憧れを抱いている人は多いので、楽しみに利用される方は確実に増えると思っています」 
 海洋散骨に乗り出したのは、遺族の立ち会いもなしに散骨する業者が多数存在することを知ったことがきっかけだった。墓地・埋葬等に関する法律では、埋葬や火葬、埋骨、納骨につての定めはあるが、散骨についての定めはなく、葬送を目的としていても、節度をどのように保つかは業者次第という状態が作法無視の散骨の横行の背景にあると指摘する穐山さんの『散骨葬』は厳粛だ。
「故人様のご遺骨を海や山など自然へ還す『散骨葬』を希望される方も増えてまいりました。その中で、お祓いもしない作法無視の散骨が横行している現状を看過することができなかったのです。しっかりした形で海洋散骨をすることで、一周忌や三周忌でその海域に足を運び、気持ち良く海に手を合わせることができると思います。どの海域で執り行ったかという証明書もお渡ししますし、ご遺族はその海を見て故人を忍ぶこともできるのです。過去に簡易な形で海洋散骨された方でも、お清めしてお祓いし直すということが可能です。間違いなく海のところにいらっしゃるのですから、後からお祓いしても問題ありません。葬儀は穏やかな晴れの日に執り行います」
 湘南の海の楽しさと魅力をもっと知ってもらいたいという気持ちから始まったクルージング事業は、基本コースとして逗子、油壺、真鶴、三浦、熱海、伊東の6コースを設定、4人の基本料金は2万円~4万円、追加料金を払えば8人まで乗れる。午前9時~午後3時までの間の好きな時間帯を選べる。船酔いを心配して申込みに踏み切れない人向けにレギュラー企画として「お試しクルージング」も始めた。平塚新港を出航し、好きな方面に向かい、40分を目処に帰港するコースだ。
「湘南エリアは、三浦半島や伊豆半島あたりまでが大まかなエリアなのですが、クルーザーに乗って烏帽子岩を回ってみたり、海側から江ノ島や富士山を眺めてみたり、爽快感と雄大な景色を存分に楽しんで頂けると思います。相模湾には黒潮が流れ込んでいますが、基本的にはすごく穏やかで、魚が豊富に獲れ、中でもシマアジは日本一。クルージング中に釣れましたら目の前で捌いて御馳走します。ランチクルージングやナイトクルージングなど、お客様の依頼によって決めるプランもあります。みんなでワイワイ船上パーティしようよという感じです。ですから時間がきたら終わり、なんてことはしません。いきなりシャンパンをサービスしたり、お客様の時間が許せば、もう一周ということもよくあります」
 穐山さんは、結婚適齢期世代の非婚、晩婚化も念頭に、海の上で生涯の節目をサポートする事業の準備を進めている。
「船上での婚活パーティも事業として行い、男女の出会い、結婚をサポートしたり、船上結婚式、いわゆるクルーズウェディングを行ったりしていきたいと考えています。若い夫婦の挙式が、豪勢な披露宴でなく、船上でリーズナブルかつオリジナルにできたら、経済的に余裕が生まれるうえに一生忘れられない式になると思います。その結果、たくさんの子どもが生まれたら素晴らしいことだと思います。散骨事業も含めて最初から最後まで、海の上で生涯のサポートができたら最高でしょう」

皆が仲間の無敵の法則で活動
地域の人々の良い明日を願う


 穐山さんは、大学時代、ヨット部に属し、その活動を通じて大事にしてきた法則がある。『無敵の法則』。強くて誰も勝てないという意味の無敵ではなく、周りには誰も敵がいない、皆が仲間。だから何かあれば皆が助けてくれる。それこそが無敵。そのことを指す。穐山さんは、事業を進めるに当たってもこの法則が生きると信じて疑わない。
毎年5月に行われる小田原北条五代祭り。パレード隊列の最後尾を飾るまち衆隊で大稲荷神社氏子神輿会が繰り出す神輿を氏子衆と共に担ぎ、祭りを盛り立てる穐山さんの郷土思いは半端ではない。
「歳を重ねて地域の神様をお守りする立場になりましたから、これからの思いは、世のため人のため、そういう気持ちで生きていかないとバチが当たるかなって思います。私には上からものを言う人たちには見えない路地裏のこともよく見えます。常に庶民の目でものごとを見ていくと、色々な人の声が聞こえてくるのです。伝統を尊重しつつも固定観念にとらわれない神社像を追求し、先陣を切って、神社界の未来を切り拓いていきたいと思っています。会社経営では、利に走らず、たくさんのありがとうを集める会社を目指します。西湘地域を盛り上げ、地域の人々により良い明日を提供していきたいと思っています」

株式会社 湘南パシフィック オーシャンコーポレーション
TEL:0465-35-7588 FAX:0465-35-7588
大稲荷神社
TEL:0465-34-7630
ホームページ
 http://bit.ly/1UaqZ6n

薬袋税理士事務所
所長 薬袋正司(みない しょうじ)氏
埼玉県生まれ。東京CPA会計学院を卒業後、伊勢丹で経理業務全般を経験。税理士資格を取得後、外資系税理士事務所を経て、1997年に資産税に特化した税理士法人タクトコンサルティングに入社。10年間勤めた後、2007年に独立し『薬袋税理士事務所』を開業。宅地建物取引主任者の資格も持つ。
時代の流れの中で重みを増す遺言書
相続争い回避の視点で作成サポート

 少子高齢化が進む中で、終活として相続争い回避の視点から遺言書の意義を強調、民法改正による制度の変更など政界の動きにも注意を促し、現行の制度下で遺漏なき遺言書の作成をポートする。

終活ブームを背景に関心高まる
遺産分割を巡るトラブルも増加


 人生の最期を迎えるにあたって執る様々な準備を意味する終活。その一つ、遺言書への関心の高まりを示すデータがある。日本公証人連合会の統計や裁判所の司法統計によると、1994年の公正証書遺言作成件数 48156件、自筆証書遺言検認件数7349件、合計55505件だったものが、2013年にはそれぞれ199・4%増の96020件、227・4%増の16708件、203・1%増の112728件と、この20年で倍増している。公正証書遺言は、2014年には104490件と10万件を超えた。
「遺言や相続はナイーブな問題を内包し、積極的に取り組むことに躊躇しがちですが、少子高齢化、就活ブームなどを背景に最近はテレビや新聞にも度々取り上げられて、次第に認知されてきているのだと思います」。相続、遺言問題に直面した当事者を専門的な見地からサポートしてきた『薬袋(みない)税理士事務所』の薬袋正司所長は、遺言書への関心の高まりを相続争い回避の視点から歓迎する一方、相続でもめるケースが増えていることに注意を促す。家庭裁判所の家事調停や審判に持ち込まれる遺産分割事件が、最高裁判所の司法統計よると、2014年には13101件と、13000件の大台を突破、この10年で約1・9倍に増えたことをさす。この裏腹な状況を視野に、薬袋所長は遺言書の意義を丁寧に説明し、遺漏なき遺言書の作成を指導してきた。
「遺言書は、被相続人が亡くなった後に、遺産相続に関する指示を残せる最後の意思表示であり、相続分の指定や特定財産の遺贈、相続人以外の者への遺贈や寄付などを明示できるものです。遺産分割の方法は一番新しい遺言書が最優先です。相続人の総意のもと遺言書を反故にするのであれば、遺産分割協議書に切り替えることができます。よく利用される遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。自筆証書遺言は、遺言者本人が自分で書いて作成するものです。家庭裁判所で検認という手続きを経て、本人が記述したものであると認められた場合には遺言書として成立します。いつでも書き直しが効き、費用がかからないというのが大きなメリットですが、書き方がルールに乗っ取っていないと使えないリスクがあります。また保管の状況等により、紛失、破棄、改ざん等の危険にさらされます」
 遺言書の85%を占める公正証書遺言にもメリット、デメリットがあると薬袋所長は指摘する。
「公正証書遺言は、予め遺言の内容を公証役場に伝えておき、公証役場に作成してもらうものです。まず、遺言者とその家族の情報、財産の内容を公証役場に伝え、その上で、どのような分け方にして欲しいかを説明します。公証役場はその要望に沿って原案を作成します。後日、証人の立ち合いのもと、公証役場にて確認をし、完成した遺言は公証役場に保管されます。プロがルールに乗っ取って作成するため、書き方にミスがないのが大きなメリットです。また、遺言書が公証人役場に一通保管されるので、紛失等しても安心です。デメリットとしては、証人に遺言の内容を知られることです。また公証役場はあくまで要望に沿った遺言書を作成することが仕事ですので、遺留分や相続税についてアドバイスはしてくれません。費用は計算のルールが決まっているため、どこの公証役場であっても変わりませんが、遺言書にある財産がいくらであるかで費用が変わります。不動産については、固定資産税の通知書に記載されている価格、固定資産税評価額によります」

複雑な相続人の優先順位
遺留分侵害は紛争のタネ


「処分は腕力に依るべし」。相続人を黙らせる遺言書として歴史に伝わる、平安時代後期の天台僧、「鳥獣戯画」で知られる鳥羽僧正の遺言書だ。僧正の財産を狙う弟子たちの欲心を見抜き、逆説的に警告を発し、遺産分配が穏便に処置されたという逸話だ。遺言書が相続争いを防いだ好例だが、現代は相続について様々な法律上の定めがあり、遺言書の作成に当たっては十全な配慮が必要と薬袋所長は指摘する。
「相続人の優先順位と相続割合を定めたのが民法の法定相続分です。これに対して、遺言書で相続人ごとに誰にいくら渡すかを指定するのが指定相続分。しかし、遺言書の指定が優先されるからといって全てが許されるというわけではありません。法律は、法定相続人のために残しておかなければならない一定の割合を決めました。遺留分です。遺言書を作成するときには、この遺留分を侵害していないかについて念頭におかないと、後々紛争になる可能性があります」

民法大改正の動向を注視
与党が遺言控除新設検討


 薬袋所長は最近の政治、司法界の遺言書をめぐる動きにも注意を促す。法相の諮問機関、法制審議会相続部会が2016年6月、1980年以来の大規模な民法改正案についての答申の中間試案をまとめたのが一つ。もう一つが、遺言に基づいて遺産を相続した場合、一定額を相続税の基礎控除額に上乗せする遺言控除の新設検討を政府与党が始めたこと。
「民法改正では、これまではすべて本人の自筆であることが必要でしたが、土地の目録などはパソコンで作成できるようにしたり、遺言書をなくした場合に備え、公的機関が預かる制度や相続人でなくても介護などで貢献をした人が金銭を請求できる制度、配偶者が家に住み続けられる居住権を新設したり、預貯金を遺産分割の対象にしたり、遺産の最低限の取り分、遺留分を保障する制度を見直したり、様々な角度から検討が進められていて、今後の動向から目が離せません。また、遺産控除は、遺言を普及させて遺産相続をめぐる紛争を抑止し、若い世代へのスムーズな資産移転を図る狙いがあり、平成29年度税制改正での創設を目標としているようですので、創設されれば、遺言の活用が進むと同時に、数年後には遺言が相続税対策としても有効なものになるかもしれません」
 東京の葬儀会社が2016年6月に行った遺言と相続争いについての意識調査で、30%が、「自分が遺言書を残さないと家族に相続争いが起きると思う」と回答した。少子高齢化、認知症の責任能力、複雑な人間関係、人間の欲望、時代の変化に伴う制度の改正……。様々な要因がからむ相続、遺言の相談に向き合ってきた薬袋所長の信条は明確だ。
「人生を総括する遺言書に託す想いは人それぞれ違いますが、幸せを願う気持ちに変わりはありません。未来へつなぐ想いをきちんとカタチにする、それが私たちの務めだと思っています」
(ライター/斎藤紘)

薬袋税理士事務所
TEL:03-6228-6400 FAX:03-6228-6401 Eメール:minai@tax-bpc.com
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居心地のよい木造住宅で『大空間』を演出。

右下:章総合建設事務所 代表 川又章 氏
徳島県出身。父親 が大工職人で、その影響から高校は建築科で学ぶ。警察官を志した時期もあったが、阪神淡路大震災を経験したことで建設業界に入ることを決意、卒業後、徳島県の中堅建設会社に入社、現場監督も務めたが倒産。それを受けて独立し、2013年、『章総合建設事務所』を設立。

お客様のイメージの実現を目指します。
『コンセプトハウス』で示す創造力
「一軒入魂」の精神で希望を叶える

阪神・淡路大震災を契機に建設業界に入り、独立後、建築関係の多くの資格に裏付けられた技術や知見を動員し、「一軒入魂」の精神で施主の夢を叶える。

猫と共生するお家を実現
負けず嫌い魂で解決に導く


 徳島県板野郡北島町の真新しい2階建ての民家がペット愛好家の間で話題になっている。阿波市の『章総合建設事務所』が『コンセプトハウス』として建てた「猫と共生するお家」。1階の天井に当たる空間にペット専用のスペースを設け、上り下りの通り道も設けたユニークな構造だ。部屋の隅にトイレトレイを置いて、放し飼いするよりも室内をきれいに管理できる。猫を飼う施主の切実な願いに耳を傾け、ペットを飼うことで起きる課題を考えながら、代表の川又章さんが工夫を重ねて設計した、人とペットが楽しく共生できる新発想のオウチだ。
「私は負けず嫌いです」ホームページでの自己紹介でいきなりこう切り出す川又さんの仕事に向き合う姿勢は鮮明だ。「猫と共生するお家」もその姿勢を貫く中で生まれた象徴的な住宅だ。
「建築会社、工務店、設計士に要望を伝えたけど、予算が合わない、技術的に困難と応えてくれそうになく、家を建てる方自身が夢を諦めそうになったケースでも、相談していただければ、私は決して諦めません。あの手この手、どんな手を使ってでも希望を叶えるべく、可能な限り知恵を振りしぼります。往生際が悪いのが当社の特長です」

VE手法活用で制約を突破
実力示す建築関係の資格


 往生際の悪さを支えているのは、単なる意気込みではなく、高度の専門知識だ。その一つがVE、バリューエンジニアリング。提供する商品やサービスなどの価値を最大にしようとする体系的手法だ。
「VEは、提供しようとしている商品やサービスが、何のためのものか、つまり機能を明確にし、機能がもたらす満足度とコストの関係から商品やサービスの価値を向上させる、価値創造です。建築でいえば、コストや技術力の制約から、決まった予算内では対応できないと諦めるのではなく。あらゆる角度から検討し、工夫を重ね、予算の範囲内で建築という機能がもたらす満足度を確保する努力です。理想に100%近づけるマネジメントとコントロールが信頼を得る力だと思っています」
 川又さんのバリューエンジニアリングを可能にするのが、資格に裏付けられた技術力と知識だ。一級建築施工管理技士、二級建築士、一級土木施工管理技士、応急危険度判定士、二級電気施工管理技士、乙種第一・四類危険物取扱者、第二種電気工事士、ブロック塀診断士、大型特殊自動車免許。川又さんが持つ資格だ。一級建築施工管理技士の国家資格を取るには環境工学、構造力学、躯体工事、建築材料などの建築学、施工計画、工程管理、品質管理、安全管理なその施工管理法、建築基準法、労働基準法、消防法などの法規についての学科試験と実地試験にパスしなければならず、合格率が15%前後の難関だ。その実力が認められ、川又さんは建築・不動産に関する資格取得の試験のための予備校、日建学院で講師を務めている。
 技術力と知識、マネジメント能力に加え、同社の業務に深さと広さを与えているのが事業のネットワーク。建築土木関係の26の協力会社やその職人、不動産仲介や建築に関する法的手続などに関する業務の専門家、金融機関、家具や家電などの専門店などとの連携の輪を構築、施主の多様な要望に応える総合的な体制を着実に整えてきた。
「当社は、戸建て住宅だけではなく、公共施設、商業施設、オフィス、マンション、福祉施設などの新築、リフォーム、内装、水廻り、外装、増築、改装を手がけていますが、私一人でできることは限られていますので、当社とお客様、協力会社などは一つのチームだと考えて動いています。ネットワーク活用による総合力で、建築に関するご要望をワンストップで解決できる体制も当社の特長です」

大震災契機に建築に進路
施主のイメージ実現に力


 大工職人の父親の背中を見て育った川又さんは、高校の建築科で学んだ後、警察官の仕事にも興味を持ち、一時期、その道を選択することも考えたが、1995年の阪神・淡路大震災の際、多くの住宅が倒壊して人命が奪われる光景を見て、建設業界に進むことを決め、建設会社に入社。その中で現場監督などの経験を重ね、設計や図面製作にも興味を持って勉強したという。しかし、その会社が倒産、独立した。
「建設会社在籍中も、独立してからも、仕事に必要な知識、技術は徹底的に身に付けようと勉強しました。資格取得のために、夜遅く現場から帰ったあとも勉強し、徹夜は当たり前でした。その努力があって多くの資格を取ることができたと思っています。応急危険度判定士の資格は、阪神・淡路大震災の教訓から取ったもので、災害発生後に県知事の要請で地震や余震で被災した建築物を調べ、倒壊の危険性、落下などの危険度の判定を行いますが、東日本大震災や熊本地震が起き、さらに大規模地震が取りざたされる今の時代、建築物の耐震構造を考える上で、応急危険度判定士の知識は役立っています」
 川又さんが住宅建築で励行していることがある。施主との打ち合わせで施主の住まいを一度は訪ねて、生活スタイルを見ることだ。
「家は夢。お客様はそこでの明るくて楽しい暮らしを思い描き、期待に胸を膨らませておられます。お客様が抱いておられるイメージを共有し、可能な限り形にしていくことが満足につながります。まずはお客様のことを知るために、一度は今のお住まいに伺い、お客様がどのような空間に居心地の良さを感じられるのか、どういったスペースを確保したいとお考えかなどを肌で感じることで、お客様の生活スタイルをつかみ、限られた予算の中で実現するための工夫を凝らして、お客様のイメージを実現する、それがプロの仕事だと思っています」
「一軒入魂」。建築家としての川又さんの信念だ。
(ライター/斎藤紘)

章総合建設事務所
TEL:088-695-2156  FAX:088-695-2146  Eメール:sho-ken.a@feel.ocn.ne.jp

代表取締役 正林明氏
大阪府出身。兵庫県立神戸商科大学商経学部管理科学科卒。人工知能による経営工学専攻。独立系システムインテグレータに入社し、10年間業務アプリケーションをソリューションするシステムエンジニアとして、製造業、商社、金融業の企業に情報システムを提供。その後、コンサルティングファームに入社、コンサルティングを17年間続け、2014年、50歳で独立、『株式会社H&Mプリンシプル』を設立。
SE的思考までも駆使し描く経営の航海図
経営者の夢を叶える人材・組織戦略

IT企業のシステムエンジニアからその知見を生かす経営コンサルタントに転進、人材、組織戦略で経営を成長軌道に乗せ、経営者の夢の実現をナビゲートする。

多能工の活用モデルを発案
意識変革の連鎖で成長促す


 間接労務費削減多能工モデル。経営コンサルティング会社『株式会社H&Mプリンシプル』の代表取締役正林(まさばやし)明さんが発案した、人材戦略で企業を成長軌道に乗せるメソッドだ。社員数と労働生産性の相関性に着目、1人で複数の異なる職域を遂行する技能を持つ多能工の発掘、育成、配置によって、使途が不明確な原価、間接労務費の削減を図り、生産性を高める手法。システムエンジニアSEとしてIT企業で働いた経験を持つ正林さんは、このモデルに象徴されるように、会社が抱える人材を強力な資本と考え、経営の緻密な分析から最適解を見出し、経営者をサポートするナビゲーターとして実績を重ねてきた。
 正林さんが経営支援で力を入れているのが、人材活用の必要性を認識しながら、活用の意味が明確にならず、過剰人員や戦力不足に直面している経営者。コンサルティングでは経営改革の前提となる社員の当事者意識を重視する。夢、気づき、変革の連鎖がそのキーワードだ。
「経営コンサルタントの仕事は、お客様の夢を実現することだと思っています。課題が解決し経営が順調になっても、夢が実現できるとは限りません。大事なのはお客様がどんな夢をお持ちなのかということ。経営者が自らの夢を語れる魅力ある存在になると、社員の意識、会社が見据える方向も変わります。顧客の見る目や世間の認識も変わり、結果、市場での企業の存在価値が高まって、継続的に発展できる企業になれるのです。しかし、自分の夢を語ることができない経営者は少なくありません。当社では、お客様にまだ見えていないもの、まだ聞こえていないものに気づいていただくよう導いていきます」

『4つのP』の実行計画を提示
セミナーで経営の理想説く


 企業の変革では、戦略的、支援、計画試験、必要不可欠業務の4つの視点で未来の航海図を共に描くパートナー。つまり『4つのP』で道筋をつける。収益構造強化、業務効率化、競争力強化、組織構築・編成、人材獲得・育成、企業承継がその具体的な内容だ。
「まず、ヒアリングや検分、データ分析で目的と問題を多角的に診断します。これに基づいて可能性のある解決方法を作成し、お客様に実行計画案を提示します。それを実現する上で必要な社員の訓練、能力開発、新しい慣行の形成のための戦術的指針を提示し、実行段階では成果結果を評価し、フォローアップしていきます。このプロセスの中で特に重視しているのは人材です。人材を資産から資本にシフトすることで企業体質強化され世情に影響されず永く活躍する企業を創造できる自信があるからです」
 大学で人工知能による経営工学を専攻した正林さんは、卒業後、IT企業に就職、システムエンジニアとして活躍したが、システムを組む作業に飽き足らず、システムへのニーズを発掘し、解決策を提示するコンサルタントに転じた。コンサルティングでは、システムエンジニアとしての思考回路が働く一方、経営者や社員の人間性も改革を左右する要素として重視する。その独創的な改革プロセスと成功事例から経営者の大局観を高めていける「綺麗事の経営実践塾」には、理想的な経営環境を目指す多くの経営者たちが参加し、切磋琢磨しながら、経営者としての魅力を高めている。


株式会社 H&Mプリンシプル
TEL:06-7713-2565  FAX:06-7713-2526 Eメール:info@hmpr.co.jp
ホームページ http://www.hmpr.co.jp/

第一弾『凛女のススメ きらめく未来は私がつくる』
週刊住宅新聞社刊 1,500円+税

2016年内に第二弾発行予定
『凛女の選択ー30代からのリアル、心と体、生きる道』
(著)凜女推進委員会
NPO法人女性医療ネットワーク(ジョイ・ラボ)
凛とした女性を目指ししなやかに美しく生きる
「凛女」に反響社会進出を応援

多様な分野の第一線で活躍する女性たちのグループが、ターニングポイントに立つ女性の生き方選択のヒントとなる指南書を出版、大きな反響を呼ぶ。

30代の働く女性に贈る『凛女の選択』
女性活躍推進の指南書、第二弾


 女性が輝ける社会の実現を目指す女性活躍推進法が2016年春、施行された。女性の積極的な社会進出に対する理解や環境が整いつつある。女性はキャリア形成と出産適齢期も重なり、仕事もプライベートも家庭も同時進行で、生き方は十人十色。女性が輝ける生き方に正解はないが、2016年秋、社会進出を目指す女性へヒントになる本が出版される。
『凛女の選択ー30代からのリアル、心と体、生きる道』。本書では、自分を見つめるターニングポイントの30代を迎える女性を対象に、25名による様々なキャリアや専門分野の女性たちが共著し、人生経験や知恵を凝縮し、自分との向き合い方や人生での選択のヒントなど、一人ひとりが「凛女」としての「生き方」を示している。巻末には「女性の心と体」についてまとめた、NPO法人女性医療ネットワーク(ジョイ・ラボ)による特別付録「女性の心と体 健康手帳」が付く。
 凛女推進委員会は、女性ならではの視点で、感性や生活感覚を生かして、豊かなコミュ二ケーションを図り、お客様の笑顔を増やす活動に共感するプロフェッショナルチーム。
「凛女」とは、
・ しなやかに美しく生きる
・ 輝く笑顔で、楽しい時間を過ごす
・ 経済的に自立している
・ 心とカラダを磨き続ける
・ ひとりは皆のために、皆はひとりのために
との意識を持つ女性と定義づけている。
 凛女推進委員会のメンバーは、会社経営者、個人事業主、有資格者、文化人など多彩だ。エグゼクティブコーチ、キャリア研修講師、美容関連事業経営、保育園経営、ファイナンシャルプランナー、生命保険セールスパーソン、相続コンサルタント、ブランド戦略コンサルタント、レストランオーナー、スピリチュアルカウンセラー、声楽家、フードマイスター、弁護士、税理士、行政書士、司法書士、社会保険労務士などの肩書が並ぶ。

第一弾はベストセラーに
男性にも新たな視点提供


「凛女推進委員会」が2015年出版した第一弾の『凛女のススメ きらめく未来は私がつくる』も、21名の様々な分野のエキスパートによる共著。就職、結婚、育児、復職、転職など、様々な人生経験、キャリアを重ね、自己確立、自立を目指して社会に地歩を築いた経験則は、多くの女性たちに支持され、アマゾンの「女性と仕事」「恋愛」「倫理学入門」部門で1位を獲得。丸善丸の内本店でもノンフィクション部門で第1位に選ばれた。読者から続編への期待が高まり、それに応えたのが第2弾『凛女の選択』だ。
「女性の感性や生活感は、これからのビジネスに欠かせないと確信しています。また男性にとっても新たな視点を提供するのは間違いありません」凛女サポーターである男性経営者の一人の読後感だ。
 仕事もプライベートも、自分の軸を持って歩むプロフェッショナルたちが、ターニングポイントで進路を模索する女性たちに贈ったメッセージ。
 その声援に応え、女性が輝ける社会を切り拓いていく、新たな「凛女」の誕生への期待が込められている。


凛女推進委員会
Eメール:info@rinjo.jp
ホームページ http://www.rinjo.jp/

下左:『NLPプラクティショナーコース』
大阪、東京、京都などで講座を開設
長男知希さん、次男昌志さん

下右:代表取締役 西川勇 氏
和歌山県出身。学業終了後、地方銀行に就職。支店長時代、脳科学ツールNLPを知り、また、偶然にNLPと出会い効果を実感した長男、次男と2010年に『Gold MT Eggs株式会社』を設立、代表取締役に就任し、経営と企画を担当、トレーナーの子息と共にNLPによる人材育成と普及に努める。
脳科学ツールNLPで自己啓発促す
効果を実感した父子で普及に注力

異なる道を歩んでいた父親と子息2人が偶然に脳科学を用いた自己啓発ツールNLPに出会い、その効果を実感、総合研修会社を設立し、講座、セミナーで活用を促す。

成功パターンを分析し体系化
幅広い分野で活用の効果実証


 父は、地方銀行入行。長男、京都大学工学研究科卒、大手電機メーカー入社。次男、東京大学工学研究科卒、グローバル企業入社。異なる道を歩んだ親子が偶然にも同じ自己啓発ツールを学んだことを知り、それぞれの勤め先を退職、結集して総合研修会社を創設した。和歌山市の『Gold MT Eggs株式会社』。3人を惹きつけたのは、米国で開発された脳科学ツール、NLP(神経言語プログラミング Neuro-Linguistic Programming)。習得するとコミュニケーションやマネージメント能力が高まり、自己成長に大きな効果が得られるという、このツールを使った同社の講座やセミナーには、自己改革を目指す様々な職業の男女が集まる。
 NLPは、1970年代に米カリフォルニア大学の近代心理学セラピストのリチャード・バンドラーと言語学者のジョン・グリンダーが研究を開始した心理学に端を発し、欧米を中心にセラピー(心理療法)の分野で急速に広まった手法。その後、継承者たちが研究や工夫を重ねて体系化した。『Gold MT Eggs』では、代表取締役を務める西川勇さんが研修の企画立案や会計を担当し、NLPラーニングセンターで徹底的に訓練を受け、条件を満たして米国NLP協会認定NLPトレーナーの資格を取得した長男知希さんと次男昌志さんが企画の具現化と研修実務を担当する。
「NLPは、優れた能力を有する人の成功パターンを分析し、体系化した理論、スキルを集合体としたものです。NLPを学ぶことで、感情、思考、行動のコントロール、コミュニケーション能力の向上、他者に対する影響力の向上、短期間の信頼関係構築、心のしくみの理解、成功者に共通する気づきの能力の向上、信念の書き換え、ビジョンの構築などが可能になり、世界の政治家や経営者、ビジネスマン、アスリート、弁護士、医師、教育関係者など幅広い分野の人に活用されています。NLPには、脳の回路すら変えてしまう言葉やパターンがあり、これらを使いこなせる事はとても大きな優位性です。私自身、地方銀行の支店長在任中にNLPのことを知る機会があり、素晴らしいと大いに感銘を受けました」実体験に基づく社長のNLPに対するこの評価が会社の基盤だ。

理論実践両面からアプローチ
メンタル作りを主眼に指導


『Gold MT Eggs』の講座やセミナーで中心になるのは、実践的な基本コース「NLPプラクティショナーコース」。10日間にわたり、NLPの基礎から様々な場面での応用まで、脳科学的視点から理論的にアプローチし、体験によって眠っている脳力を引き出し、新たな気づきと成長をバランスよくサポートする。
「NLPは、最も大切なメンタルを作ります。否定されても、それを受け入れるメンタルです。このメンタルができれば、人の上に立つ器が養われます。また、NLPは観察力を強化します。それによって今まで気づかなかった自分自身や他者の新たな側面が見えるようになります。日本人は、メンタル面が弱く、打たれ弱い傾向にあります。過保護に育てられる人が多いせいか、メンタル面がより一層脆弱になっているようにも感じられます。メンタルが脆い人の多くが、単純に思考をネガティブからポジティブに転じれば良いと勘違いしてしまいがちですが、ネガティブを一切排除するようでは駄目なのです。それでは人としての器が小さいままで、幸せにはなれません。当社には信頼を寄せるトレーナーが多数在籍しておりますので、メンタル作りでお役にたてると思います」
 同社は、理論と実践で業界NO・1を謳っており、頭と身体、両方でNLPを習得できるのが特徴だ。
 NLPの普及にかける親子の信念に揺るぎはない。

Gold MT Eggs 株式会社
TEL:073-489-4794 FAX:073-442-2745 Eメール:gold.mt.eggs@gmail.com
ホームページ http://nlpstudy.jp/

お客様のニーズに応え、事務所やオフィス、店舗など、小規模工事から大規模工事まで幅広く手がけ、集客アップや売上アップにつながるよう、プロデュースをし、快適な空間を創る。

右下:代表取締役 金城健二 氏
東京都出身。高校を卒業後、建築内装業で軽鉄ボード工事の職人見習いとして働く。幾つかの内装工事会社で経験を積み重ねる中で独り立ちの思いが高まり、2003年、23歳で一人親方として独立。『株式会社優健工業』を設立し、2009年、法人化を果たす。社員のほか専属の職人40人を牽引。
信頼を築いた内装工事一筋の経験
仕事に向き合う情熱が育む求心力

職人見習いから内装工事一筋に経験を重ね、起業して法人化を果たし、社員、職人と一丸となってリフォームの多様なニーズに応え、前進し続ける。

独自の業務遂行体制を構築
重視するリフォームの効果


「仕事に対して努力することよりも、仕事を好きになる努力をして下さい」
 東京、千葉を中心に内装リフォーム事業を展開する『株式会社優健工業』の代表取締役金城健二さんが、WEBで若者に贈ったメッセージ。高校卒業後に建築内装業の職人見習いになり、仕事が面白くなってのめり込み、23歳で独立、29歳で法人化を果たして8期目、内装工事一筋に20年に及ぶステップアップの歩みに裏付けられたエールだ。
 同社の業務を特長づけるのは、クライアントに信頼される工夫を実現する体制を金城さんの経験に基づいて構築したことだ。店舗や事務所のリフォームでプロジェクトマネージャーと営業スタッフがタッグを組んで取り組むのがその一つ。クライアントの希望を押さえた上で、店舗のコンセプトに適い、集客、売上アップにつながる商業空間、働くことが楽しくなってモチベーションのアップに繋がり、取引先にも一目おかれるラグジュアリーで快適なオフィス空間を提案する。
 戸建て、マンションのリフォームでは、暮らす人の気持ちにフィットすることを重視し、その手段としてホームページで事前にリフォームのシミュレーションを行うことができる仕組みを設けた。空間構成だけでなく、内装のカラーコーディネートも見ることができる。
「事務所やオフィス、店舗の内装工事をトータルにプロデュースさせていただいていますが、ミクロ的な視点に止まらず、マクロ的な視点から地域づくりもコンセプトに掲げてきました。ミクロ的な視点でお客様へのお手伝いを重ねながら、当社のコンセプトに少しでも近づけ、素敵な街づくりのお手伝いの協力ができればと考えています」
こうした事業を支えるのは、約40人の専属職人と職人から登用した数名の社員。中堅ゼネコンを経て店舗施工の大手建設会社で統括部長まで務めた経験豊かなスタッフも加わり、体制は強化された。

スタッフの意見提案を重視
出会いを大切に地歩を築く


「リフォームの可否を左右するデザインは、これまで積み重ねてきたノウハウによるものや流行りものを採り入れたりもしますが、皆で意見を出し合うことで成果を上げてきました。入ってきたばかりの人にも必ず提案してもらうようにしていまして、それによって勉強になることもすごく多いし、なによりも刺激になります」
 23歳での独立は、職人として道を極めていきたいと思ったのがきっかけだった。ひたすら現場をこなす中で、起業の芽が生まれる。
「仕事をしていく中で、たくさんの職人さんやたくさんの元請けさんにお会いすることができました。その出会いを大事していくうちに、親方として見習い社員を入れ、職人さんたちが私の下で仕事をしてくれるようになって仕事の受注体系が変わっていきました。社員のため、職人さんのため、お客様のために堂々と仕事ができる体制にしなければいけないと思いが強まり、周りの人の協力で起業し、社長になり、そして会社も私も成長することができました」
 人との出会いを大事にし、人とのつながりを未来へつなげていく。金城さんが掲げる経営理念だ。

株式会社 優健工業
TEL:03-6808-2506 FAX:03-6808-2507  Eメール:info@yu-ken-k.com
ホームページ http://yu-ken-k.com/

下左:特定橋梁点検車によるオペレーション

下右:代表取締役 渡辺元 氏
宮城県出身。学業修了後、建設コンサルタント会社入社。その後、短大研究科に進学。卒業後、海外青年協力隊員としてモロッコで土木工事に従事。帰国後、建設コンサルタント会社で20年間、橋梁点検を経験。2011年、『株式会社ハシカンプラ』設立。測量士、一級土木施工管理技士、橋梁点検技術研修修了者。
社会資本の維持更新に燃やす使命感
弛まぬ研究心による技術向上で貢献

土木技術の資格と橋梁点検の経験を生かし、劣化する社会インフラの維持管理更新の会社を立ち上げ、弛まぬ研究心で技術向上を図り、使命感を持って社会に貢献する。

900箇所を超える橋梁を調査
時代の要請に応える体制構築


 東日本大震災直後の2011年6月に橋梁やトンネルを中心に土木構造物の点検、調査、診断を業務とする『株式会社ハシカンプラ』を設立した代表取締役渡辺元さんは、国民の生活や経済活動を支えるインフラ、社会資本の維持、管理に強い使命感を持って取り組んできた技術者だ。自ら新しい技術を学び、後進を育成して築いた業務遂行体制は高く評価され、国土交通省や地方自治体から請け負う事業は増える一方だ。
 その一端を示す数字がある。2015年4月から2016年3月までの一年間の同社の業務実績。災害関連業務、橋梁点検業務で調査した橋梁は725箇所、高度の技術を要する特殊車両で点検した橋梁193箇所、調査したトンネル31箇所、このほか道路ストック点検、砂防施設点検、測量業務、土木構造物調査など同社が持つ技術がフルに生かされたことを裏付ける業績だ。
「高度経済成長時代に建造された社会資本の土木建造物が50年の耐用年数を超え始め、建設当時に基準が整備されていなかった耐震性の問題も浮上しています。安定経済成長期に整備された20年以上前の大量の社会資本も急速に老朽化しています。それらの長寿命化を考慮した維持管理更新は時代の要請であり、相次ぐ大震災による土木構造物の崩壊や笹子トンネル天井板の崩落事故がそれを一層強く意識させました。当社はその要請に応えられるよう技術、知識を集積し、その成果が着実に上がっていることが業績に示されていると思います」

最先端の劣化診断技術も学ぶ
農業でも安全・安心な農法追求


 渡辺さんの使命感は、向上心とともに育まれてきたものだ。社会に出て建設コンサルタント会社に就職、その後、基礎知識が必要と短大研究科で土木工学を学び、21歳で測量士の資格、33歳で一級土木施工管理技士の資格を取得した。40歳で国交省土木研究所の研修を受け、橋梁点検技術研修修了者の認定を受けた。直近では、赤外線サーモグラフィカメラ使用して外壁面から放射される赤外線画像と可視画像から構造物の劣化状況を診断する技術、赤外線法を一般社団法人日本赤外線劣化診断技術普及協会JAIRA(ジャイラ)の講習で学ぶなど、その意欲は衰えを知らない。同社のスタッフの7割を占める20、30代のスタッフもその姿に刺激され、競って技術向上に取り組んでいる。
 社会資本の更新に力を注ぐ渡辺さんには、15年間続けている農家の顔も持ち、『ハシカンプラ』の業務の合間に、仙台市にある10アールの畑で露地栽培による野菜づくりに汗を流す。ここでも、研究心が背中を押し、化学肥料や農薬を全く使用しない有機農法を追求、静岡県の農法研究家に玄米アミノ酸微生物農法を学び、有機栽培農法を活用した野菜生産を会社の事業として展開することも視野に入れる。
 若き日、海外青年協力隊員としてモロッコで土木工事に携わって以来、渡辺社長が示してきた生き方は、自分の力を社会の為に使う、この一点。「社会資本の更新も有機農法も、安全・安心な社会の維持に必要な技術。これからも技術向上に努力していきたいと思っています」

株式会社 ハシカンプラ
TEL:022-342-5361 FAX:022-342-5362
ホームページ http://www.hashi-kp.co.jp/


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