今からさかのぼること20数年、1985年にプラザ合意がなされると、急速な円高に導かれ、バブル時代に突入した。土地や株の価格が上がり、高級自動車やリゾートマンション、美術品、ゴルフ会員権などが飛ぶように売れる。体にフィットしたセクシーさを強調するボディコンシャスな服(ボディコン)を着て、ディスコのお立ち台で踊り明かす「イケイケギャル」も登場するようになった。彼女たちがジュリ扇と呼ばれる扇子を片手に、ジュリアナダンスで狂喜乱舞する「ジュリアナ東京」が話題になったのもこの時期だ。
ところがバブルが崩壊後、右肩上がりで伸び続けてきた経済成長は幕を閉じ、時代は大きな変革期に突入した。大量生産・大量消費の時代は終わりを告げ、経済は成長型から循環型へとシフト。ファッションビジネスにおいても、多様化・個性化した成熟した消費者の欲求にどのように応えられるかが緊急課題となった。ユニクロの台頭や、かつては消費の主役だったデパートの相次ぐ経営破綻、グッチやコーチなどの若返りを図った老舗ブランドの再生はその証ともいえるだろう。9・11やイラク戦争など混沌とする世界情勢と長引く平成不況の中、消費マインドは冷え込んでいる。
しかし、一方ではかつてのような華々しさの復活を願う声も存在している。メリハリのある素敵なスタイルで周囲を魅了したボディコン……とまではいかなくとも、一世を風靡したセクシーでゴージャスな衣装を、あえてこの冷え込んだ舞台で花咲かせてみてはいかがだろうか。バブル期を彷彿とさせる服を身にまとい颯爽と街を歩けば、取り巻く社会も少なからず「イケイケ」になってくるはずだ。 |