医療コンサルタント・薬局・人材紹介・エステ・喫茶店など、幅広い分野に展開している『コスモグループ』。
その代表取締役社長、矢野浩行氏にヒットを生む秘訣、ヒットを生む人材を育てる秘訣を聞いてみた。
以前、製薬会社に勤務していた矢野氏。9年前に独立して薬局を立ち上げ、それからは持ち前の「決断力」と「行動力」で事業を拡大し、『コスモグループ』を現在の形にまで押し上げた。
ヒットを生むキーワード
「営業力」と「広告力」
矢野氏の考えるヒットを生むキーワードはその商品を売る「営業力」。しかし、その時に注意すべきなのが「物ではなく、自分(人間性)を売り込む」ということだ。相手と直接会い、言葉を交わすことによって自分という人間を理解してもらい、そこから密なコミュニケーションをとることで初めて物が売れるのだという。近道をして、最初から物を売ろうとするのは本末転倒。決して相手の心には響かないのだ。
矢野氏が実際に営業する時、絶対に「断る隙を与えない」のだという。例えば車のディーラーが新車を売りたい場合、提示するのは「普通の車」を買うのか、「ハイブリッド車」を買うのか。常にお客さんが「買う」という前提で話を進め、買わないという選択肢を与えないのだ。こうすることで何となく話は買う方向に進んでしまう、営業テクニックの1つだろう。
こうした営業力で商品を多く売り、さらにその情報をメディアの「広告力」で広げる。それができた頃にはもうヒット商品になっているだろう。
上司にとって必要なのは
「決断力」と「行動力」
だからといって誰もが矢野氏のようなノウハウを身に付けているわけではない。矢野氏が率いる『コスモグループ』もしかり。全員がエリート社員ではないのだ。では、その各個人の能力を発揮させるにはどうしたらよいのか? グループ躍進の影には矢野氏独自の人材育成方法があったのだ。
矢野氏が部下から質問された場合、まず悩むことはない。その場で決断し、部下へ指示をする。即決できなければ、部下に不安感を与え、信用を失ってしまうからだ。その指示も部下が解決方法を考えるような「ヒント」でなければならない。上司がすべて解決してしまっては部下のためにならない。部下が自分で考えて行動できるように育てるのだ。当然、部下の能力によって与えるヒントの数も違ってくる。仕事のクオリティーが40%の部下もいれば80%の部下もいる。40%の部下をまずは50%までできるように育て、残り50%は上司がフォローすればよいのだ。「たとえ部下が失敗しようとも、頭ごなしに怒るのではなく、行動をしたからこそ失敗があったという成果を誉めてやるべき。失敗すらさせないのは育てる意思がないのと同じ」と矢野氏。そもそも上司と部下の仕事のレベルで同じではない。自分ができたから部下もできるだろうと考える時点で間違っているのだ。
誰もが持っている不満。
それを上回る「やりがい」
そもそも『コスモグループ』には全体会議というものがない。社員一人ひとり意見は違うのは当たり前、会議を開いたとしても意見を言う人は決まっている、会議などせずに即実践というのが矢野氏の考えなのだ。また、『コスモグループ』には新人研修もなく、新入社員は即現場で働く。意欲を持って取り組もうとしている新人は、いきなり現場に出ることで、やる気をそのまま仕事にぶつけられる。「現状に不満を持っていない人間は誰もいない。仕事量が多くて大変だという不満よりも、やりたい仕事をさせてもらえないという不満の方がはるかに大きい。それを取り除いてあげたい」と矢野氏は語る。「自分は必要とされているんだ」と感じること、それが個々の能力を生かし、アイデアを生み出す人材を育て、ヒット商品に繋がっているのだ。
上司が部下を評価するには時間がかかるが、部下が上司を評価するのは一瞬。しかも社長ともなれば失敗することは絶対に許されない。そういったプレッシャーの中で『コスモグループ』を率いる矢野氏。健康維持のため、睡眠には気を配っているのだという。そんな矢野氏、さぞ多くの悩みを抱えているのだろうと思いきや、意外にも悩みは全くないのだという。その理由は「即決&即行動」。その意識が悩む隙を与えていないのだ。
先日、TV番組にサッカーのゴールキーパー役で出演し、女子サッカーの選手のシュートをまともに受けたのだとか。そのスピードと強さが「怖かった」と笑いながら話す矢野氏。きっと今日も決断力と行動力を発揮しているだろう。 |