低料金・高リスクといわれる
現代インプラント事情とは
顎の骨に人工の歯根を植え込み、その上にセラミック製の人工歯を取り付けるインプラント治療。本来の歯に近い見た目と装用感で昨今人気を集めている。しかし、ネックは歯茎を切り開く大がかりな手術とそれに伴う高額な費用。インプラント人気につけ入る「安かろう悪かろう」な手術が横行し、ショッキングな事故が週刊誌に取り上げられる今日、「インプラント=危険」という認識が出来つつあるのも無理はない。
『きけがわ歯科医院』の取り組む独自のインプラント手術は、そんな風潮に一石を投じるものだ。歯茎を切り開き目視でインプラントの埋入位置を決めていた従来の手術法に対し、 当医院ではCTスキャンを利用し手術前にインプラント埋め込みの設計を行う。神経の位置から骨の固さまで割り出して設定した最適な位置と角度に、歯茎の上からTubur Drillで穴を開けインプラントを直接埋め込む。この手術法によって手術の時間や出血も大幅に軽減され、従来必要だった二次手術も不要に。術後の腫れや痛みも軽く「虫歯の治療より楽だった」と驚く患者が後をたたないという。
徹底した患者第一主義で
インプラント新時代へ
しかし、当医院・亀卦川院長の安全性と確実性に対するこだわりはそれだけでは終わらない。いかにCTを駆使しようと、フリーハンドでドリルを扱えばどんな熟練の医師でもその振動で手元がぶれる。そこに着目したのが約15年前、院長自らが考案したのが、独自の手術法「Kis-System」だ。ドリルを沿わせるだけで正確な位置にインプラントを埋入することができる「サージカルガイド」を発案し、手術においては、脊髄の外科手術にも用いられるナビゲーションシステムを導入。機器に頼るのは素人、という歯科業界の因襲を打ち破り、徹底的に安全性を追求した。その結果可能になったミクロン単位の誤差も追求した精密な手術は、「インプラント=危険」という概念を根本から覆すに足るものだ。
大学の口腔外科やインプラント専門クリニックでの勤務を経て開業に至った院長。「安全・高精度・低侵襲」のインプラント治療を妥協せず追求する熱意は、新たな歯とともに明るい笑顔を取り戻した患者達によって支えられていると語る。第一線で活躍しながらも自らの技術に甘んじることなく、常に患者本位の治療に徹した末に生まれた画期的な治療法。精鋭の技術をごく平均的な費用で施す姿勢にも、患者第一という揺るぎないプライオリティが見える。
『きけがわ歯科医院』には地方からの患者も多く、また現在「Kis-System」にはメーカーからの資料請求や講演依頼が多数寄せられるという。世界に誇れる新技術が、インプラント治療の新たなスタンダードとなる日も近いだろう。 (ライター/伊藤英子)