刺繍一筋の専門家集団だから作れる
ハイクオリティな刺繍のスカジャン
街を歩くと、どこからともなく織物機の音が聞こえる……そんな郷愁や懐かしさを感じさせてくれる閑静な街・群馬県桐生市。昔から繊維の街として有名だ。この地で和装刺繍加工業を営んでいる『丸ニ刺繍』は、刺繍やワッペン制作会社としてスタートした。今では、熟練した職人と最新鋭のコンピュータを駆使して、高品質な刺繍製品・プリント製品を手掛け、ユニフォームを始めワッペン・帽子・リストバンドなど、他では作れない手の込んだ製品を作っている。
その丸ニ刺繍で、最も注目を集めているのが「スカジャン」。
横須賀ジャンパーともスーベニールジャケットとも呼ばれ、戦後間もない時期に、横須賀に駐留していたアメリカ軍兵士たちがパラシュートの生地を使ってジャケットを作り、その背中に大型の刺繍を施したとも、アメリカ兵のベースボールジャケットにオリエンタルな刺繍を入れたともいわれており、全国の駐在米軍基地でお土産として売られていたとか。それが最後まで売られていたのが横須賀……。
とにかく、この背中の大きな和柄刺繍がジャンパーの価値全てを決めるといっても過言ではなく、『丸ニ刺繍』の熟練した職人が生み出す絵柄は、刺繍の粋を超えていると評判が高く、完成度の高さに、コアなファンが多いのもうなづける。スカジャンの刺繍デザインの主流は昇り竜、鷹、寅などだが、一点物のフルオーダーにこだわる愛用者も数多い。それは、どの刺繍も、独特な重厚感ある仕上がりだから当然かもしれないが。
たとえば、ミシンを使いこなすまで10年は修業が必要とされる横振り刺繍は、針の振れ幅を微妙に調整したり、人の手で布の位置を変えたりして立体感を出している。他にも腕の立つ職人だからできる技が詰まった芸術レベルの作品に仕上がるから。どんなイメージであっても、得意の特殊刺繍を生かし、カスタマイズされたジャケットを作ってくれる頼もしい職人集団、それが丸ニ刺繍なのだ。
他にも、自分だけのミリタリーワッペンの制作、螺旋刺繍風飾り、ネーム刺繍、ロゴ刺繍留め、サガラ刺繍、スパンコールなどの特殊刺繍にも気軽に応じてくれる。リメイクや補修もOK。例えば、デニムの柄刺繍のゆるんだ糸は、手作業で1本ずつ引きよせて補修。また、裂けたジャケット背部には、手振り刺繍でロゴを留めて既成品なのに、オリジナリティを出す演出をしたり。母から娘へ引き継がれるような全面刺繍の帯だってオリジナルの祭半纏に。刺繍もお手のもので、お祭りで目立つことも確実! 不可能なことがないほどの〝丸ニマジック〟だ。
現在、アパレル業界においては、海外委託の大量生産が進んでいるが、伝統を大切にしながらも技術革新を繰り返し、一心にモノづくりに取り組んできた丸ニ刺繍には、誇り高い技術がある。だからからこそ、純国産にこだわり続けることができるのだ。大手のファッションブランドからのニーズも高く、ネット販売もスタートさせた近年、需要は全国規模に拡大中。
桐生の丸ニ刺繍という位置づけに留まらない勢いだが、あらゆる相談に対応してくれるのは相変わらず。柄刺繍も一点から対応可能。気軽に問い合わせては?
(ライター/深井みさわ) |