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薮吉倉庫 株式会社 代表取締役社長
上田忠敏氏
昭和22年福岡生まれ。大阪府吹田市で育つ。中学1年の時一家で名古屋に移り、名古屋大学を卒業、トヨタ自動車に入社。国際調達部などに在籍し海外駐在、日米貿易摩擦問題担当などの職務に従事。英国トヨタ勤務時には湾岸戦争勃発の異常事態の中で業務を遂行。1995年、トヨタ自動車を辞職し、夫人の実家の家業『藪吉倉庫株式会社』の経営を継承する。 |
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まず一歩踏み出すことを
若い人に伝えたい
『薮吉倉庫』は、地場産業であるカーペットなど繊維製品を中心に扱う営業倉庫及び不動産賃貸業を行ってきたが、2年前からはカーペットの保管だけではなくミシン加工も行い、繊維製品の総合専門物流会社を目指している。同社の上田社長はトヨタ自動車出身。夫人の実家から家業である『薮吉倉庫』の経営を頼まれて転職を決意。それまでトヨタ自動車で学んだやり方を、そのまま取り入れるのではなく、まず話し合うことを選んで改善を進めた。
「社長としてこう改善したい場合でも、現場に相談して意見を聞くようにしました。『トヨタでは』という言い方はせずに、時間をかけながら一つずつ自分なりのやり方を広げていったのですが、結局新しい方法を取り入れれば現場もラクになるので、わかってもらえるようになりました」
カーペットのミシン加工は、取引先から持ちかけられたが、社員と十分に話し合った上で導入した。上田社長は会社経営を行う傍ら、地元でクラシック音楽を中心とした「岸和田城音楽祭」を主催するなどの社会活動も行っている。25歳の時クリスチャンとなったが同じ信仰を持つ七重夫人が4年前、病のため亡くなった時、夫人と天国での再会を誓った。上田社長は若者に社会貢献の意義を伝えたいという。
「私たちに与えられた人生は一度きりです。若い皆さんには、立ち止まっていないでまず一歩踏み出して欲しい。そして高い目標を立て全力投球していただきたい。一つの仕事を真剣に、三年続け、そして10年頑張れば、あなたは必ずその道のエキスパートになっています。そしてあなたが、年を重ねて成功したときは、その成功が自分の力だけで出来たとは思わずに、周りの人にも助けられてきたのだということを忘れないで欲しい。そしてそのお返しとして、社会に役に立つような、社会に還元するような生き方を心がけて欲しいと思います」
(ライター/本名広男)
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