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萬壽寺 住職
田代晴耕氏
『萬壽寺』住職であった父の師匠の縁により小学6年から中学3年まで平戸の「雄香寺」に弟子入りし禅の道を歩む。専門道場後「雄香寺」に戻り3年務めた後、佐賀の『萬壽寺』で父親の元で副住職を務め、父親の他界後住職となる。 |
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由緒ある歴史の中で
不動尊信仰を守る寺
渓谷の美で知られる佐賀大和町の川上峡。その山中に地元の人達から親しみを込めて「水上のお不動さん」と呼ばれている臨済宗南禅寺派の『萬壽寺』がある。『萬壽寺』は大治5(1130)年に開山、800年の歴史を持つ古刹だ。開祖である善住上人が竜神の使いより賜ったという「火と水」二振りの剣にちなみ、本尊を火焔と忿怒の形相を表す不動明王としたといういわれがある。
「この不動尊は子育て祈願を始め、家内安全、病気治癒、交通安全等々願いごとを何でも聞いてくれるとして、現在も信者は絶えることなく訪れています。かつては毎月28日の祭りには、村をあげて行列を作って参拝に訪れていました。もともと当山は、この不動尊を信仰する信者の御寄進により支えられている寺なのです」と、田代住職。
『萬壽寺』は禅寺には珍しく、代々の住職が祈祷や易学を用いて不動尊を訪ねてくる信者の相談を受けているという。信者は不動尊に祈願し、実際の方位や吉凶等のアドバイスは田代住職からということになる。同寺には由緒ある寺宝や境内の見事な滝があり、11月下旬~12月上旬には壮麗な紅葉を見ることができる観光の名所だが、あえて観光寺として宣伝しないのも不動尊にお参りする信者に配慮してのこと。
「信者が御利益を求めてきたり、代々の住職が易学などを用いるのも、もともと当山が佐賀藩藩主の祈祷寺であったという歴史があるからなのかもしれません。境内には滝があるのですが、少し前まで遠近から霊能力者が滝行に来ていたのですよ。一般のお寺と違い、観光などに頼らないお寺というのも珍しいかもしれませんね」
代々受け継がれてきた由緒ある寺と共に、訪れる不動尊の信者のために「水上のお不動さん」をずっと守っていくことを田代住職は使命と感じている。
(ライター/本名広男)
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