エディ・メルクス
1945年6月17日〜 ベルギー出身
1960年代〜1970年代、自転車プロ・ロードレースにおいて、最強の選手といわれた。引退後、現役中に使用していたフレーム製作を依頼していたウーゴ・デローザに師事した後、自身の名を冠したフレームメーカーを創業した。現在では、ただ有名選手の名を冠しただけのメーカーでは無く、積極的にフレームの改良を行い、ビギナー向けからTT用のフレームまで製作するレーシングブランドとして確立した。
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軽く、強靭で、安全な自転車
生涯補償付きの信頼されるブランド
プロ、アマ問わず、サイクリストにとってレースとは単なる競争ではなく、
ただただ突き進む自分との闘いだ。
成功するには、強い忍耐力が必要だが、最適な自転車に乗ることも重要なサポートとなる。
ヨーロッパ史上最強のアスリートが作る自転車を紹介しよう。
2010年7月5日に開催されたツール・ド・フランス第2ステージは、ベルギーのブリュッセルからスパまでの201㎞で開催され、『メルクスEMX-5』を駆るクイックステップチームのシルヴァン・シャヴァネルが優勝し(第7ステージも優勝)、マイヨ・ジョーヌを獲得した。ちなみにマイヨ・ジョーヌとは、個人総合成績1位の選手に送られる黄色のジャージで、合計所要時間が最も少なかった選手のみが着用する権利があるのだ。
さて、この時、シルヴァン・シャヴァネルが乗っていた自転車『メルクスEMX-5』とはどのような自転車かを説明しよう。16年間の現役時代にツール・ド・フランスで総合優勝5回、マイヨ・ジョーヌ着用日数96日、現役通算525勝…全ての自転車競技に勝ちつくし、不滅の金字塔を打ち立てたエディ・メルクス氏が、自らの名前を冠し、現役引退3年後に立ち上げたロードレーサーの工房から生み出された自転車だ。
現役時代、機材にうるさい選手として有名であったエディ・メルクス氏。イタリアのカンパニョーロ社にはチタニウムのパーツを作らせ、同じくイタリアのウーゴ・デ・ローザ社には、なんと年間50本以上ものフレーム製作を依頼したという。素材に始まり、重量、設計など、ロードレーサーのあらゆることに一切妥協をしない繊細な神経の持ち主だったからこそ、カンニバル(人食い人種)とまで呼ばれ、史上最強のレーサーと成り得たのだ。
そんなエディ・メルクス氏の経験を生かしたロードレーサーを生み出す「エディ・メルクス社」は、当然のごとく、素材選びから、設計、塗装まで全工程を自社の工房で行う。ベルギーの石畳(パヴェ)にも似た頑固さが、エディ・メルクス社のフレームの哲学とまで言われている。
そんなエディ・メルクス社の自転車関連製品を日本全国、北から南まで約100件のサイクルショップに卸している愛知県名古屋市の株式会社深谷産業には、エディ・メルクス社の製品への問い合わせが増えているという。日本で自転車文化を広めたいと熱く語る5代目深谷えり子代表取締役社長の溢れんばかりの情熱と、ベルギー王室から男爵の位を贈られてもなお、ロードレーサーへの思い&探究心は変わらないエディ・メルクス氏の熱意がここに結びついた結果とも言えるだろう。とにかく、自転車ブームの日本では、最も注目されている自転車ブランドとなっている。
(ライター/深井みさわ)
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