老朽住宅という「マイナス」を「プラス」に転じる
独自の経験が生んだ「自己資金0円の借家リフォーム」
高齢化が進む中、入院や施設への入居により親の持ち家が空き家になってしまうことは、老朽化や防犯の観点から誰もが頭を抱える問題だろう。『ハウスキープ』のオーナーである佐藤武志氏がこの問題に着目したのは、東京に住むクライアントから空き家にしている実家のリフォーム依頼を受けたことがきっかけだった。リフォームを経て、老朽住宅から晴れて新築同様に生まれ変わったこの家のリフォーム費用は、なんと0円! 固定資産税と火災保険の費用を除き、依頼主の負担は不要だったというから驚きだ。
では、なぜ自己資金0円でのリフォームが実現できたのだろうか? その秘密は、リフォーム費用を家賃収入から回収したことにある。リフォーム後のアフターフォローは全て同社が請け負い、リフォーム費用完済後は家賃の全額が持ち主の収入になるという夢のような仕組みだ。この成功を機に、県が推進する「経営革新計画」に事業申請し、承認を得ると同時に中古建て住宅に関する情報・借主の仲介は、それぞれ地元の専門業者と協力関係を締結するに至った。借主不在時のリスクは同社が請け負い、借家期間の延長・リフォーム代金の別途負担等、想定されるあらゆるリスクを払拭した、安心・信頼のシステムが完成した。
現在、紹介に次ぐ紹介で、継続的に依頼を受けているという同社の成功の原点は、クライアントの依頼に対し決して「NO」と言わない姿勢にある。年金暮らしだがリフォームしたい、老後は田舎で暮らしたい等、住まいに対する夢を真摯に受け止め、現実的な解決策を考えていく。経験豊富な頼れる「住まいの便利屋さん」として、今後の活躍が期待される。
(ライター/下田美保)
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