出版・映画業界に救世主が現れた
本も映画も大ヒットしたあの作品
「本が大ヒット→そして映画化」ここ数年、洋画・邦画問わず、話題性やヒットの要素としてパターン化している。「原作を読んで観るか」「観た後に原作か」「映画のみ観て一つの作品として純粋に楽しむか」は人によって様々で、「映像化は難しかった」「原作に勝るものはない」との声は読書好きから。「原作と映画は比べない」「映画として楽しむ」と映画好きはそう語る。でも一度は観ておかないと言うのが共通の意見だ。
原作(単行本」)は70万部を突破、2009年本屋さん大賞受賞、著者の湊かなえ氏は第29回小説推理新人賞を受賞した話題の一冊。そして映画は、2010年6月初旬に公開され10億円(6月15日現在)突破した映画『告白』。公開週に早々と観たという人がまわりにも多く随分と好評のようだ。
湊かなえ氏の原作を読んだ人ならば多少の免疫があったかもしれないが、映画が先という場合は、それなり、それ以上のインパクトがあった作品であったのでは。噂に聞く、落ち着きのない、この世代の教室。生徒と女性教師。ホームルーム。先生の声は、生徒のおしゃべりに、聞こえたり、聞こえなかったり。しかし、突然に教室の空気が変わる。先生の声が「私の娘はこのクラスの生徒に殺されたのです」と物語は始まった。実際には現実に起こっていることではないがその後にやってくる数々の衝撃的な出来事に、知らず知らずに、この映画の独特な世界に引き込まれていく……。ブラックな色彩を帯び、ホラー映画を凌駕する生理的感覚を伴った恐怖となって見る者に迫ってくる作品、劇中に流れていたレディオヘッドのトム・ヨークの歌声が恐怖感を一層引き立て盛り上げてくれた。映画公開に先がけ、文庫版が2010年4月8日に発売され、わずか2ヵ月弱で実売100万部突破し、2010年発売の文庫本で初めてのミリオンセールを記録した。そして映画は、世界配給が決定しているほか、ハリウッドからリメイクのオファーが殺到し日本の映画界にも追い風を巻き起こす救世主となった。
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