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コスモグループ CEO 矢野浩行氏
昭和62年3月、東海大学教養学部卒業。平成10年8月、コスモ商会設立。以後、輸入業、調剤薬局、喫茶店、エステティックサロン、学習塾、音楽出版、映画・テレビ番組の制作、介護事業、クリニックの経営等々多彩な事業を展開する。
『秀英学院 富山東部教室』
小澤孝博氏
秀英学院 富山東部教室
TEL/076-423-4119 FAX/
5076-423-4144
富山県富山市西長江1-7-17
メディアスタッフ学院
http://mediastaff.web.fc2.com/msgtop.html
少人数のマンツーマンで教える方式。
信頼され、好かれる学習塾。
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地元密着型企業として
成長するのに必要なこと
この時代にあって多角的に事業を展開する『コスモグループ』CEO矢野浩行氏に、
中小企業が地元密着型で成長するための提言をいただいた。
新規事業展開で奔走する『コスモグループ』CEO矢野浩行氏に地元密着型で中小の企業が成功するための秘訣を伺った。『コスモグループ』は医療関連の企業を中心に多彩な業種を展開するグループで、地域密着型の事業を多く成功させている。矢野氏はそのひとつである塾について次のように語る。
「弊社では学習塾を運営していますが、これは典型的な地元密着型の業種。塾では学校の授業について行けなくなっている生徒さんを個別指導形式で受け入れています。学校の授業について行けなくなると、学校に行きたくなくなるもの。学校の先生は大勢の生徒を相手にしなければならないので、落ちこぼれてしまうと、生徒は自分は相手にされないと思ってしまう。弊社の塾は一対一の個別指導でそうした生徒をフォローしていくのです」
『コスモグループ』が学習塾を始めたきっかけは効率よく場所を使うためだったという。
「会社は高い家賃を払いながら、月曜日から金曜日の9時から17時までしかフロアを使っていない。土日と夜は空いている。会議室など、使用時間は営業時間の何時間使っているのか。その使っていない時間を学習塾で有効利用しようと思ったのです。会議室や応接室はほとんど使っていないので塾の自習ルームにしました。会社では応接室での業者対応などを午前中のみに行うことにしました」
『コスモグループ』の学習塾にはドリンクバーがあるという。これは矢野氏のお子さんが、「ドリンクバーがあるような塾があったら通いたい」と言うのを聞いたことからドリンクバーを取り入れることに。
「通常、子どもは塾に行きたがらないものですが、来たくなるようなサービスとして始め、話題にもなりました。もともと弊社が運営する調剤薬局でも、そうしたサービスを行ってきました。やはり子どもは病院には行きたがらない。そこで病院から弊社の薬局に処方箋を持ってきたらくじ引きができるようにすると、子供達は喜んでくれ、病院に来るのを嫌がらなくなりました。今までの薬局は、薬を出して説明するだけで、味気なかった。くじ引きの他にポイントカードを作って景品を差し上げていたのですが、それはコミュニケーションのきっかけにもなり、和気あいあいとした雰囲気が生まれました。このささやかなサービスで、親も子も来やすい薬局となったのです。地域にこういう薬局があるということで、評判になり流行る薬局となりました」
『コスモグループ』では全国各地に薬局を展開しているが、統一のマニュアルを作っていないという。地域地域の事情が異なるので、各店舗での方針が違うためだ。矢野氏は逆にそれを地域密着企業としての強みにしている。
「大手には全店統一のマニュアルがあるものですが、実はそこが弱点になるのです。マニュアル化すると融通がきかなくなる。値段も統一で、店舗の裁量の余地がない。コーヒー1杯のサービスすらできないのです。地域密着で小さな会社がやって行くには、現場での裁量を大きくすることです。現場に責任を与えないと成功しません」
大手の会社はマニュアルから外れることができないもの。小さな会社が大手を凌駕していくには、地域密着で、各地の事情にあわせ臨機応変に営業展開していくことだという。矢野氏は、各地域で複数の店舗を展開する場合について次のように語る。
「全国展開をする場合は中央から管理するよりも、各店舗の自発性に任せた方が良い結果を生みます。現場に裁量権を与える。すると現場は自分で考えて運営していくしかないのです。ただ、任せるのと放置するのは違います。任せるというのは信頼し期待することなのです」
通常の企業だとそうした運営では心配になり、経営者が現場に干渉したくなるもの。また店の成績にも敏感になりがちだ。
「私は、もし、ある店舗の業績が落ちてきたら、他の事業でカバーすればいいと考えています。赤字が出たらその分他の事業で補填すればすむ話です。それをするのが経営者の役割だと思っています。失敗したらまた別の仕事をすればいい。弊社のスタッフは、様々な仕事ができるマルチプレーヤー。一人でデザインをすれば塾の管理も行い、ビデオの撮影にも立ち会うことができる。だから仮に一つの事業を潰しても怖くありません。会社は無くなっても人材は残るわけですから。そのスタッフは別の事業に移ればいいのです」
『コスモグループ』では、スタッフが新しいことをしたいと思えば、そのステージを与えてくれる。
「今、会津若松の調剤薬局のスタッフが、エステサロンの立ちあげを行っています。物件もそのスタッフが日曜日に自分で探し歩きました。スタッフにしてみれば自分のために店を作るのだから、苦労も苦にしていません。現地にすべて任せているというのは、やはり地域の事情にあわせた展開が必要だからです。土地柄や客層から言えば、会津若松で東京と同じ形態でのエステの運営はできないでしょう。地元で自分たちなりのやり方を見つけてもらい、運営してもらいます」
もともとエステは神奈川に3店舗運営しているが、会津若松で立ちあげるエステはまったく新しい運営方法をとるとのこと。
地域が違えばノウハウも料金もまた違ってくる。現地を知っているスタッフが自分で調べて自分のやり方を作り上げてもらうしかないという。
「エステの施術は習えば誰でもできますが、話術はそうはいきません。話術は集客に影響します。努力が必要ですが、やらされるのと自分の店でやっていくのでは違いますから彼女はやり遂げてくれるでしょう。こちらでは現場の必要に応じてお金を出してあげるだけです」
『コスモグループ』では、さまざまな地方で営業する店舗があるのは、その土地に人材がいるからなのだという。
「地方に展開するのは、人の繋がりということがが多いですね。会津若松に薬局があるのは、知り合いの医師の方がその地域で開業したいというので、弊社も店舗を置かせていただきました」
そうした地域での企業はどうあるべきか。矢野氏は次のように語った。
「従業員がコロコロ変わる店は地域密着店とはいえません。地元の人間がずっと働いているからこその地域密着なのです。地域の言葉、方言が話せるというのも地域の方の安心を得ることができますね。
大手企業は看板で仕事ができますが、地域密着の中小は、自分自身の顔が看板なのです。看板で安心と信頼をもらう。だから人を雇うときは顔を大事にしたほうがいい。大手は看板で売りますが、地域密着の中小は個々人の自分の顔で売るわけです」
数々の地域密着店舗を全国展開して成功しているからこそできる『コスモグループ』のCEOならではの提言だ。
教育県富山で運営
地元で信頼される学習塾
『コスモグループ』の学習塾部門の統括責任者として富山県からグループを支える小澤孝博氏に、塾運営の考え方を伺った。
『コスモグループ』の塾全体の統括責任者である小澤氏は、塾の現場と矢野社長を繋ぐ役割を行いながら、富山県でコスモグループ直営『秀英学院』の塾長も2塾兼任している。さらに矢野社長の考えどおり、マルチに仕事をこなしている。
「仕事は塾の統括だけではなく、映像作品の美術関係の制作に関わったりしています。もともと私はデザインもしていた人間なのです」と小澤氏。
富山といえば教育県として知られ、子供達はほぼ100%塾や習い事に通っているとか。
「掛け持ちで習い事や塾に行っている生徒さんが多く、当塾に入られる生徒さんでも、『何曜日と何曜日はこれこれの塾に行っているので、この曜日にしか通えないのですが』という相談をされる方が多いですね」
『秀英学院』は個別指導塾で、学校のような教壇型の塾ではなく、マンツーマンで教える方式を採っている。講師の採用にも特色があり、小澤氏が面接を行うときは、学歴よりも生徒に好かれるような講師の方を選ぶという。
「塾は講師あってのもの。いじめ等の問題があり、学校に行けなくなった生徒が、当塾には来てくれことがありました。それは仲の良い講師がいたからだったのです。その講師と二人三脚で、なんとか高校進学までこぎ着けたのです」
その後、その生徒のお母さんは『あの塾に助けてもらった』と地域のなかで評判を拡げてくれ、他の学校が嫌いな生徒さんの親御さんから『1時間でも見てもらえないか』との相談が増えていった。講師にも相性があるので、体験授業などで、5人くらい見てもらい、講師を選んでもらうという試みも行っている。
小澤氏は最後に「現場に裁量権があるので、こうしたことにも臨機応変に対応できるのです。また講師と生徒の距離感を縮めていくことが私の目標なのです」と語った。
(ライター/本名広男)
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