井形慶子 イギリス
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一体約300万円ほど。博物館や美術館の注文に加え、オートマタに魅了された個人の注文も多い。

初めて見て感動する人続出!
まるで人! ヨーロッパのからくり人形

ヨーロッパのからくり人形「オートマタ」。その動きやしぐさはまるで魂を吹き込んだよう。オートマタ隆盛期の名作を復刻した作品であふれる人形館は多くの人々を招き寄せている。

 「オートマタ」とは、ゼンマイを回せば20〜25分の間自動に動くヨーロッパのからくり人形。緻密で精巧な作り、まるで生きた人をみているかのような繊細なしぐさには、驚きと感嘆の意を隠せない凄みのある工芸品だ。落ち着いたリラックスできる『小さなからくり人形館プッペ』には、ヨーロッパで不朽の名作と評されたオートマタを復刻した作品がたくさん置かれ、多くの人々を魅了している。
 代表の堀江氏は40年間、西武百貨店の時計宝石店で修理工として勤務。1990年に職業柄よく訪れてていたスイスのオルゴール発祥の地サンクロアで、オートマタ作家ミシェル・ベルトラン氏に出会った。彼のアトリエ兼ギャラリーを見せてもらったときに、オートマタに触れ、感動し身体に旋律が走ったという。そして、もともと時計職人が製作していたという話を聞き「同じ仕事をしている自分も作ってみたい」と強く思ったことがきっかけになったのだとか。
 本業が忙しかったこともあり、最初は趣味として製作開始。1999年に一台試しに作ってみようと思い「手紙を書くピエロ」を完成させた。時計やオルゴールと遜色ないメカニズムの機械の部分にからくり人形の魅力を再発見。人形の部分は以前から行なっていた仏像彫刻や能面など「木を掘る」という芸術的作業の経験が役立ったという。2004年には、スイスの世界最古の時計メーカー「ブランパン」からオートマタの制作依頼を受け、「時計師(オロロジェ)」を製作したことも。その後も製作を続け、注文されて作ったものも含めてこの10年で製作したのは17〜18体。図面を書く段階から、服を着せて動くところまで全て手作りで、なんと機械も金具から自分で作るため、1体に約一年かかるのだそう。堀江氏が製作する際のポリシーが「昔存在したものを復刻して作る」こと。特別にオーダー注文された場合以外は、オートマタの名作が次々と生まれた19世紀ベルバラ時代のフランス、そしてスイスやドイツの作品を復刻して作っている。ここまで凝ったものを作る人は日本人には他にいないと評判で、来客の方がその感動をブログで書くことが多く徐々に評判が広まっている。関西方面からの来客もちらほら。海外に目を向けても、ここまで精巧なものを作るのは2〜3人だけとのこと。堀江さんの類い希な技術は今後も注目を集めていくに違いない。        
(ライター/今井加奈子)
 
小さなからくり人形館プッペ
TEL/029-557-6057 FAX/029-557-6057
   
   
   
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