『陽商店』の魚粉を使うと農畜産物の「育ち」「食味」が違う！と声が上がった。その理由は、一般に流通している「魚カス」などと違い、圧搾による脱脂などは行わない昔ながらのこだわりがあるからだ。原料を丸ごと使い、肥料用として窒素・リン酸、飼料用としてタンパク質・カルシウムなどの養分を余すことなく含んだ本物の魚粉だ。 これまでに全国のこだわりの生産者を影で支え続けてきた同社が 昨今の農畜産業の現状、ＴＰＰ問題などを見据えて本格的に全国展開する。
日本全国でも数少ない「純国産魚粉」に特化した専門問屋『陽商店』は、時代に逆行し創業当時から「魚粉」の単肥のみで勝負している。また、同社では製造から販売までを一貫して行い自社便にて全国配送まで実施。当初は肥料用の魚粉から製造を始めたが、現在では鰹の赤身を主原料に飼料の分野にまで業務を拡大し高い評価を博している。そのため、同社では「農林水産大臣確認」を受け、年に２回、農水省と県の立入調査を受けている。その際には製造した魚粉も検査の対象となり無作為に採取され成分分析にかけられる。 同社独自の「魚粉」は袋を開けた瞬間に「カツオの赤身が光り輝き鰹節の香ばしいかおりが一面に広がる」。その専門問屋ならではの主力商品を紹介しよう。競走馬飼料「海のアスリート」（蛋白質90％以上）は、瞬発力とスタミナを必要とするサラブレット専用の飼料だ。鰹の赤身だけを厳選し、時間をかけて仕上げていく。成分は主にタンパク質。同じく「骨の源」（カルシウム19％）は鰹の中骨を中心に細かく加工。こちらの成分は主にカルシウムだ。肥料用途の「鰹魚粉」（窒素７％リン酸７％）は鰹の身と骨をバランスよく調合している。稲作、野菜、果樹栽培などで幅広く施肥されており肥効が長いため元肥のみで最後まで収穫できる。同じく「魚骨粉」（リン酸19％）は鰹の顎骨、中骨、心臓で仕上げており、作物が成長する上で必要な三大要素の一つでもあるリン酸分が豊富に含まれている。特に茶樹、果樹栽培では欠かせない製品だ。同社の「魚粉」は削り節を製造後、出荷選別する段階で出る規格外品を主原料としており、製品にはカツオ特有の天然タンパク質を多く含む「赤身」をふんだんに入れている。もちろん酸化防腐剤、添加物などは一切不使用だ。そのため天然魚油脂質には「豊富な養分」と「良質のうま味成分」が失われることなくそのまま丸ごと残っておりこの飼料で育てられた豚、鶏等は格段上等に育ち、肉質の違いが歴然と判る。肥料としては、田・畑に施肥すれば豊富な天然成分で収量の増収、品質の向上は言うまでもなく、特に作物の「食味、甘味、旨味」に関して抜群の肥効を発揮する。なによりも同社の「魚粉」を愛用される生産者は農畜産物を50年以上も作り続ける方が多くを占める。
同社の本田社長は「食の基本は味である。」そしてこの魚粉との出会いが高い志を持つ生産者の「一つの可能性」に必ずなるはずだ。と自信をもって語る。まさに同業他社とは一線を画す独自の「経営哲学」と「行動力」で歩んできたからこそ言える格言だ。なお『陽商店』では「魚粉」以外の製造販売はしておらず頑固に昔ながらの本物「魚粉」を守り通している。農畜産物生産者の最後のよりどころとして大いに期待すると共に全国区なだけに今後も更なる活躍から目がはなせない。
（ライター／本名広男）
