未来を見据えた製品開発、新たなニーズに対応するモノづくりの可能性を追求する永島製作所。代表取締役社長永島剛士氏は自らの研鑽を欠かさず、人の「心」にも目を向け、ヒーラーに続きカウンセラーの資格習得に励んでいる。「心」を学ぶ意義は、会社の発展や人間関係の形成にも非常に有益だと語っている。
モノづくりに対する真摯な取り組み
可能性を追求し続ける「永島製作所」
昭和45年、ステンレス鋼管継手メーカーとしてスタートした「永島製作所」。創業当初は他社製品を製造するOEMメーカーであった。サウジアラビア等の海水淡水化プラントに特殊ニッケル合金部品を納入。その後、商品の使いみち、作り方、仕組み、活かし方を研究し、セルフブランドとして自社製品の構築をはじめる。昭和59年の自動溶接ステンレス鋼管継手『タイニージョイント』の開発・製造により、飛躍的に発展。
現在、バイオテクノロジー用ステンレス配管や建築設備などにおいて幅広い実績を誇っている。消防分野、飲料・食品・医療などのサニタリー分野をはじめ、配管のジョイント製品「継手」の加工では国内トップクラスの技術力を認められ、高い信頼を得ている。特にサニタリー関連分野においては、国内トップクラスのシェア(国内シェアの7割)を占めている。
「他社と違うことをしよう。10年先のニーズを開発しよう」をモットーに、製品開発に取り組んだ結果、消雪用接続短管『スノージョイント』が誕生。管を樹脂で作り、ステンレスを加工した「継手」は、富山県をはじめ各地の自治体で採用され、石川ブランド優秀新製品にも認定された。また施工の専門家がいなくても簡単に接続できる配管用継手『ユー・ジー・エフ(特許)』は、新しいニーズを開拓し、東京ミッドタウンをはじめとする多くの都市開発での採用実績を誇っている。
「短期・長期的な対処、企業・個人の顧客のニーズや不満・疑問点、サービス、商品開発など、莫大な量の情報収集を徹底的に行い、チャンスを待つ」と代表取締役の永島剛士氏は語る。目先の利益にとらわれずに、次を見据えた種まきの過程が混沌とした社会のなかで、「永島製作所」はぶれない企業を確立しているといえる。
「本物」が作り出す感動
人の「心」に伝えるために
「これからは『本質』を見つめる時代。権威を振りかざすタイプは去り、『本物』だけが生き残る」と、永島氏は語る。セルフブランディングが出来ていて、何かを追求し極めることで自己を確立した人が成功者。その安心感と安定感に人々が集まってくる。そのような「本物」が作り出すモノやサービスには「心」が入っているので、人々に感動を生じさせるという。「心が伝わらないとモノも売れなければ、取引もうまくいかなくなる。クレームがあった際には、営業だけでなく、モノを作った現場の人間も一緒に行かせます。内容に応じた対応が信頼を生み、ネットワークを強固にするからです」
永島氏は、公認心理カウンセラー予定者として学んだことを社員に伝えるために、会社で講習会をすでに3回開いている。コンセプトは社員のモチベーションが上がる楽しい講習会。「いわれた仕事だけを行うマニュアル人間はいらない。自分のスキルアップを図っている人を高く評価します。限られた人数で、会社の質も、個人の質も高めていきたいから」そんな永島氏の心意気が社内の結束を固め、強い会社を作り上げている。 (ライター/土屋啓)