注目のヒット大賞 2011年度版

介護問題や年金など、様々な分野において影響を与えている高齢化社会は、相続問題においても大きな変化をもたらしている。遺産相続の結果如何によっては、その後の人生をも左右しかねない重要な分岐点となる。「円滑に相続を進めるにはどうしたら良いか？」という問いに、自身のライフワークとして長年取り組んできた相続問題のエキスパートが応えてくれた。

　「人生80年」の言葉が表すように、日本人の平均寿命は男女共に先進国の中でもトップを走り、65歳以上の老年人口は、今後ますます増加の一途を辿っている。高齢化社会が進むにつれ、相続問題の在り方も時代に伴って多種多様に変化してきた。相続年齢が必然的に上昇し、例えば両親が80歳以上まで生きると、相続する子どもの年齢は55～60代のリタイアを迎える世代となる。年金や退職金の支給額も減少傾向にある今、老後の蓄えに不安のある世代が相続問題に直面した時に、泥沼化を避けるために私達はどのような対策を取るべきだろうか？
「治田会計事務所」の所長であり公認会計士、税理士の資格を持つ治田秀夫氏は、幅広い種類の案件の中でも宗教法人関連と遺産相続を得意とするエキスパートだ。群馬県出身、中央大学の商学部に進学し、卒業後は「アーサーヤング会計事務所」に就職。ニューヨーク事務所にて実務経験を積みながら、公認会計士・税理士の資格を取得し、１９８０年に「治田会計事務所」を設立した。宗教法人の会計に関しては、文化庁宗教法人実務研修会の講師として２００８年・２００９年・２０１０年には全国9カ所にて「宗教法人の会計と税務」という演題で講演を行うなど精力的に活動を行い、宗教法人東京都神社庁・埼玉県神社庁の顧問会計士も務めている。また、遺言と相続について基礎的な知識をまとめた『なぜ、お金持ちでもないのに〝争族〟になるのか？』をはじめとする数多くの書籍を出版。著書『争族にならないための遺産相続』では、ドラマ仕立てで実際に起こった案件を紹介し、法律に詳しくない人にも分かりやすいと好評を博している。
　では、相続問題のエキスパートは、現代の相続をどう捕えているのだろうか。「遺産相続は、人生最大の不労所得を得る最後のチャンスです。幼い頃から共に暮らした兄弟姉妹であっても、金銭が絡むと欲に目がくらんで狭量になり、泥沼になるケースが多く見られます。その上、相続争いには期限（時効）がないため、解決する頃には折角譲り受けたお金を生かせない年齢になることも。相続問題を最小限に抑えるには、正しい知識と、争いを避けるための知恵が必要です」豊富な専門知識に加え、多くの案件に関わりながら長年積んできた経験のお陰で、クライアントの話を聞くと進めるべき方向が自然と見えてくるという治田氏。家族構成や金額だけでなく、相続人の性格や年齢、性別、プライベートな家庭環境により、相続争いの期間や解決法も変わってくるそうだ。
　現在すでに香港やシンガポールなどアジア諸国では相続税が廃止され、フランスやイギリスでも相続税を廃止にする議論が活発に行われている。今後は、相続税のかからない国外で余生を過ごす人々が増加したり、お金が最も必要となる40～50歳に生前贈与を受けたりと、相続問題も新たな局面を迎える時代がやってくるだろう。「治田会計事務所」では、法人税や資産税に関する税務相談・税務代理及び税務書類の作成、遺言・遺産分割、法人設立、相続実務など、多岐に渡る案件を、公認会計士・税理士・社会保険労務士・国際税務担当・司法書士などの専門家が、案件に応じて柔軟に対応している。専門分野を持つその道のプロだからこそ、私達の財産を安心して委ねることが出来て、今後変わりゆく新たな時代も自信を持って受け入れることが出来る。いつかは訪れるその日のために、余裕を持って心から頼れるパートナーを選びたいものだ。
（ライター／下田美保）