山田林クリニック

磯山の家


　その場所、風土に合ったデザインを志す「一尾建築環境設計」の建物造り。環境を総合的に見た建築は、機能的かつ地球に優しい。特に住宅においては、『ハウスデザインプロジェクト』をプロデュースし、エコロジーやロハスなどを考慮した住空間を提案、住む人のライフスタイルや環境を新たな視点でクリエイトしている、と話題だ。
　手がけた建物を見ると、まずその外観の美しさに心を引きつけられる。街と調和しながらの、品格ある存在感が印象的だ。そして、建物の内部に入っていくと、「光」の取り入れ方に目を見はる。壁や天井があっても、内部に自然光がたっぷり射し込むように設計された屋内は、あたたかみに満ちている。そして、風通しのよさ。住まう人が心地よく暮らせるベースを確かに築いているのだ。
　住宅を併設した医院の建て替えで注目を集めた。住宅街に位置し、道路と高架線路に隣接する「大塚眼科」を手掛けるにあたっては、外部の壁面に曲線を用い、周囲の街並に対して柔らかく浸透するよう構成。内部は、医院の待合室などに、乳白色のガラスブロックを使用することで、柔らかい光が空間を満たし、明るく、開放的に。住居は、日中は自然光を射し込ませ、夜にはトップライトが壁面に様々な表情を生み出すというように、魅力的な生活空間を実現した。
　また、「山田林クリニック」の建て替えにおいては、建物を二分にして工期を分け、既存の場所で診療および生活を続けられるよう工夫。二世帯住宅を分ける二棟の間の空白に散在させたテラスや庭により、どの空間にも光や風が採り込みやすく、快適さピカイチだ。
　そして、商店街の入口に建つ「山崎診療所」の建て替えでは、商店街のもつ雰囲気を大切に、ユニバーサルデザインを考慮。内部空間を含めて、人や周辺環境に優しい「一尾建築環境設計」だからこその建築を完成させた。
　分譲住宅地で自然素材を活用した家造りをした「磯山の家」は、部屋が廊下なしでつながることで家族の気配がいつでも感じられ、陽光あふれるダイニングが団らんの場に。床の桧や壁の漆喰、天井の和紙クロスが体に優しく、穏やかな空間づくりに一役買っている。
　さらに、切り妻の大屋根が印象的な「湖東の家」は、外壁に焼杉を貼り、内壁や天井にも自然素材を活用、ヒバの無垢フローリングで、木の香りが楽しめる住まいに。
　お客様の希望と予算をじっくり聞き、プランをカタチにしていく。自然素材と共存し、環境の将来を見据えた住まいは、住まう人たちの団らんを見守りながら、時を経てなおも味わい深くなるのである。
（ライター／中村美奈子 ）

一尾建築環境設計株式会社

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