最高齢期まで人としての尊厳を保つための
関わり方を真剣に考え、実践するデイサービス
高齢化社会において大きな需要がある介護サービス。しかし、その実態が心配されるような報道も相次ぐ。そんななか、「人として当たり前のことを当たり前に提供する」という姿勢で、どんなに呆けても最後までお付き合いする、見捨てない『デイサービスめぐみ』は、地元からも大きな信頼を得ている。定員を1日10人とし、少人数にこだわって、きめ細かい介護の提供に努めている。そのためにはスタッフの人数も充実させ、社員教育も徹底している。また、介護保険上の通所介護サービス(デイサービス)だけでなく、介護保険外サービスとして、早朝受け入れや夕食後送迎、お泊り、理美容サービスも行い、歯科医・内科医と協力して在宅生活を一緒に支える。毎日外出すること、同性の介助による入浴、一人ひとりにあったテーブルといすを使用する食事、トイレに座っての排泄にこだわっている。在宅で生きていくうえで必要だと思ったことを可能な限り行っている。スタッフに対しては、「老人の嫌がることをしない」を理念とし、ケアそのものに対してはマニュアル化せず、個々のスタッフの判断に任せている。自分たちで判断することで、責任感が生まれ、同時に「こんなこともできない」「こんなこともわからない」という自己課題が生まれる。それらを克服する為に「月一勉強会」を行っている。当然給料は支給しないが、仲間で課題を克服することでチームがより結束し、喜びも何倍にもなる。さらには老人も応えてくれる。自分の人生の最後をどう受け止めるのかまで人としてどう受け入れるのか独自で考えなければいけない時代がこれから迎える超高齢化社会の現状である。人の尊厳とは何か、良い最後とは何か分からない。喧嘩もするし、イラッとすることもあるから、自分たちのやっている介護が正しいのかも間違っているのかもわからないし世間が認めてくれるのかもわからない。
だけど、押し付けがましくない「ただ生きる」という名の場所がそこにあるのも事実なのだ。
(ライター/奈須美子)
|