故人が遺族にしっかりと見送られるように……
傷んだ遺体でも、元気だった頃の故人を復元
病院や自宅で息を引き取ったなら、遺体もキレイなままで、そのあとの処置も比較的にスムーズに進む。しかし、病気で点滴漬けによるむくみや、尿が出ないことによるお腹の張りなどがあることも多々ある。さらに、事故でいたんでしまった遺体や最近では、独居していた老人の発見が遅くなり、すっかり腐敗してしまっているケースも多い。
そんな状況の悪い遺体を中心に、遺体を棺に納める納棺業務を行なっているのが『新羅』だ。すっかり痩せてしまった頬をふっくらさせたりと、顔を復元し、元気だったときを彷彿させる姿に修復する技術は、国内でもトップクラス。自宅や葬儀会館はもちろん、警察の安置所など、あらゆる場所で、あらゆる状態の遺体を復元させてきた。その類い希な技術は、海外で学んできたもの。これからも、技術の向上に励んでいく姿勢と情熱はとどまるところを知らない。「私が来たから大丈夫」という使命感と「あの世への旅支度をさせていただいている」という謙虚な姿勢で、故人一人ひとりに心を込めている。「これまで苦労を抱えて生きてきた故人が、いたんだままの体で見送られ、この世を去ろうとしている。その人の最後はそれでいいのか。やりようのなさと、どうにかしてあげたいという強い思いに突き動かされました。」と動機を語る、同社の昆野裕氏。さらには、残された遺族の気持ち。故人の顔はいつまでも遺族の胸に刻まれるもの。そこで安らかな表情を思い浮かべるかどうかは非常に重要なことだといえるだろう。旅立ちの儀式を、故人も遺族も悔いのない別れをするために、同社の存在に注目が集まっている。遺族をはじめ、親族や友人に「死んだ」ではなく「寝てるようだね」とまさに「永眠」を表現できるように努めている。
(ライター/前川定)
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