小さい切開で早期復帰可能
なMIS手術に豊富な実績
股関節や膝の人工関節置換手術は長い歴史があり広く用いられているが、手術創が大きくなるのがネックだった。例えば人工膝関節手術の場合、20センチ〜25センチ切開する施設も少なくない。そこで、最近になって注目されているのが、MIS(最小侵襲手術)と呼ばれる、小さい切開で手術を行う方法だ。傷の痛みも小さく、リハビリが早く進み、早い回復が得られるという特徴がある。手術創が小さいため、見た目の悩みも抑えられる。
『辻整形外科クリニック(金沢市)』の辻俊一理事長は、1993年、どこの大学病院よりも早くMISに取り組んできた。まず人工股関節置換術で導入して有効性を確認した後、さらに人工膝関節置換術へと導入を進めている。
人工関節置換術においては、当然ながら切開が小さいと難易度が高まる。特に、膝関節でのMIS手術は、小さい手術創からのぞき見るような形になり、高度な技術が要求される。「一方で、患者さんにとっては、手術の翌日から歩行開始できたり4〜5日で独歩可能となったり1週間で膝が全部曲がるようになったりするなどメリットが大きい。苦労はあってもMISをやり遂げたい」と辻理事長は力を込める。
独自の工夫にも力を入れている。例えば人工股関節置換術では、股関節の前方もしくは後方から切開するのが一般的だが、辻理事長はすべての手術を前方から行う。「股関節は体の前方を向いているため、前方からなら直視下におさめることができる。また、手術創が股関節の曲がる方向と反対にならないので、合併症の脱臼を防ぐ効果もある」(辻理事長)ためだ。
関節は生活習慣などにより一人ひとり異なるが、辻理事長は最適な診療、手術の方法をアドバイスし、実行してくれる。
(ライター/大原一宮)
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