震災のあった日本だからこそ、心に光の差す舞台芸術を
「小さな舞台で大きな愛情を伝える」表現者たちを支援
2011年6月にスロベニアの劇場を日本へ招くことになっていたが、原発事故の影響で見合わされた。
「事前に現地へ行ったとき、田舎町なのにオペラ劇場があまりに素晴らしく、
日本とのギャップに愕然としました」と語る廣瀬さんは、舞台芸術の真髄を、日本人にも伝えようとしている情熱家だ。
「2011年の震災にともなう原発事故の影響で、海外からの公演が相次いでキャンセルになりました」と話すのは、舞台制作、イベント企画、装置や機材のレンタル、イベントスペース運営等、バックステージをトータル的にサポートしている『フラワートップ』の社長、廣瀬弘典さん。これまで、バレエやオペラといった海外作品の日本公演の舞台制作を手がけてきた。
幕の大きな外国のオペラのステージに対応できるように、大きな幕を半分にして使う知識があったり、外国のセットに合わせた電圧を使う技術があったりするのは、『フラワートップ』ならではのもの。舞台に敷くバレエ用の特殊なマットを保有していたり、レッスンをする場所をすぐに確保したりするという心配りにも、『フラワートップ』が海外から信頼を得ている理由が垣間見られる。ところが、震災の影響で、目下のところ海外からの来日は、全てストップしてしまった。
「時代が変わり、これからは大舞台より、小規模な舞台で、色んなジャンル、色んな形で自己表現することが主流になってくると思います」と廣瀬さんは語る。『フラワートップ』のレンタルスペース「スタジオトップステージ」は、まさに、そんなコンセプトにピッタリのステージだ。客席は、30席から50席というアットホームな数だが、グランドピアノが置いてあり、音響設備やマイク等も優れているため、プロが使うような豪華なステージとなっている。また、舞台と客席が近いため、パフォーマーとオーディエンスの間に一体感が生まれ、パフォーマーはオーディエンスの反応を見ながら表現ができ、オーディエンスは、じっくりとパフォーマンスを味わうことができる。
東新宿駅から徒歩5分という立地も大きな魅力だ。しかし、なんといっても利用料金が破格の安さなのが嬉しい。芝居や演芸、ミニライブや演奏会、リサイタルや音楽練習等、様々な用途に対応している。このステージからアイドルがデビューしたこともあるというから、正真正銘の本格的なステージだ。
また、廣瀬さんが考案したオリジナルのマイク受けも「使いやすい」と評判で、パフォーマーからは「手放せない」との声もあがっている。マイクを立てるタイプと置くタイプの二種類がある。舞台現場をよく知るからこそ作られた優れものだ。
営利主義に走らず、本物を見極め、本物を作る廣瀬さんの姿勢には、舞台制作のプロとしてのこだわりと、舞台を愛する芸術家としての温かさがにじみ出ている。本気でプロを目指す人、舞台芸術をこよなく愛する人たちに、ぜひ使っていただきたい夢の空間だ。
(ライター/瑞沢美加)
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