プロパンガスの利便性を支えているのは人の力。だからこそ地域密着型のビジネスが成立する。
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安全性の高いエネルギー
高い火力も選ばれる理由
設置のためのコストが安く、メンテナンスも簡単など、実はプロパンガスのメリットは多い。
「効率化」のもと、都市インフラは集約されてきた。
その一方で、非常時おける分散型システムのメリットも再評価されている。
リズム良く振られるフライパン、その下で勢いよく踊る紅い炎。料理店ではプロパンガスを使用する店が多い。それは都市ガスに比べ、高いカロリーを提供できるため。これは、一般家庭においても同じこと。火力を上手にコントロールすれば、美味しい料理をテーブルに並べることもできる。また、非常時にもメリットが多い。例えば2011年の震災程の大災害でなくても、都市ガスの配管が破損すれば、その周囲一帯でコンロが使えなくなるし、万が一地中でガス漏れが起きた場合は一大事。それに比べれば、プロパンガスの復旧は遙かに簡単である。このようにプロパンガスは、一般的なイメージよりも遙かにメリットが多いエネルギーである。しかし、なによりもプロパンガスのメリットは、地域のネットワークを構築する役割を担えることである。一軒一軒の家を廻り、点検する。その中で生まれる住民とのコミュニケーション、信頼関係は現代の社会においては何よりも価値の高いものである。石川県金沢市に在り、長くプロパンガス販売を営む『リプロ ふじ』は、そんなビジネスを実践する会社である。例えば、営業項目はプロパンの供給だけでなく、キッチン、浴室、トイレなど水回りの修理・リフォーム、温水暖房、床暖房の設置など幅広い。更に一人暮らしの高齢者を訪問するときは、困ったことがないか、ちょっとした手伝いができないかなどを必ず聞く。こうした積み重ねが「地域密着」をつくり、この信頼関係が新たな顧客獲得にも繋がるのである。同社社長、杉山氏は自らの役割を「人々の暮らしを支えること」と語る。お互いを必要とする存在となる、これこそビジネスの原点といえるだろう。
(ライター/小野領士)
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