現在我々が受けている医療である近代西洋医学は、その成立過程で、ほかの医学の系譜を切り捨て大切なものを置き忘れてきているのではないかと統合医療を提唱する『真理渡部歯科クリニック』院長渡部真理氏に西洋医学の問題点を伺った。
古来より医療の系譜には中医学(中国の文化大革命以前の伝統医学)、アーユルヴェーダ、イスラム医学などが並列して存在していたが、現在主流となっている医学はイスラム(ユナニ)医学がルーツとなる西洋医学だ。『真理渡部歯科クリニック』の渡部院長は、西洋医学は主流となる過程で大切なものを置き忘れてきていると語る。
「今主流となっている西洋医学は、かつて多くあった医学の系譜の一つだったのです。なぜ近代西洋医学が世界中に広まったのか。それは西洋医学がわかりやすく簡単だったからです。難解な医学の系譜、中医学やアーユルヴェーダなどは学ぶのに時間がかかり、また人を選ぶ場合があります。西洋医学は、目に見える世界を扱い、悪い部分は切除すればいいという分かりやすさがありますが、目に見えない世界を切り捨てた西洋医学だけになってしまうのは偏ったものになるのではないでしょうか」。
西洋医学の歴史はどこかで間違ってきているのだろうか。西洋医学が他の医学を差し置いて主流になっていく分岐点は何があったのだろう。その分岐点は複数あったと渡部院長は言う。自然治癒の源である栄養(代謝)学を重んじず、投薬治療に走る医療産業の姿に追随する。
「傍系となってしまった医学は西洋医学側から代替療法と言われています。分岐点の一例には、ゲルソン博士のゲルソン療法という食事療法があります。60年以上前に何千人にのぼる患者のガンを治した療法ですが、西欧医学側からの激しい攻撃に曝されました。ゲルソン療法はメキシコに拠点をうつして治療を続けられました。
二つ目の例にカナダのホッファー博士のナイアシン(ビタミンB3)を中心とした栄養療法があります。この療法を発表すると大学と学会と公衆衛生局から妨害を受け、職と名誉を辞したが、更に7年前に遡って博士の論文を削除しようとされた。40年以上前から多くの統合失調症患者を治してきましが、こうした栄養療法は西洋医学側からは公然とは受け入れられておらず、今日本でもほとんど保険制度に導入されていません。
西洋医学はこうして有効な治療法を研究することなく、代替医療を歴史の陰においやってきたのです。
私たちが現在行っている統合医療は淘汰をくぐり抜けてきた過去の知識と、最先端医学を研究統合され実現された医療なのです」。
(ライター/本名広男)