着られなくなったり、呉服屋の倉庫の中で眠っている着物や反物を、ワンピースやブラウス等の洋服やバッグにリメイクする『布創れん』のオーナーの沖潤子さん。日常的に着られなくなった着物の良さを現代にどう活かし、次の世代に伝えるために日々考えているという。
タンスの中で眠っている着物。もう着ることはない、けれども捨てることもできない。『布創れん』ではそんな着物を、ワンピースや、ブラウス、コート、バッグなどにおしゃれにリメイクしてくれる専門店。これまで久留米かすりのちょっとお洒落なワンピースや、紺地がとても綺麗な付け下げから作った華やかなシャツブラウス、男物の兵児帯から作った柔らかい肌触りを活かしたブラウス等々を製作してきた。
オーナーの沖潤子さんは「まだ着られる着物をバッグや洋服にリメイクすることに疑問をもたれる方はいらっしゃると思いますが、日常的に着ることがなくなってきた着物の良さを今の世にどう活かしていくか。着物地を使って洋服にリメイクするようになって10数年経ちますが、次の世代に着物地の良さを伝えるにはどうするか考え針を進める毎日です」という。沖さんは2008年に「絣の創意工夫展」で金賞、2009年にはグランプリを獲得した着物リメイクの第一人者だ。その原点を「小学校三年生の時にお人形さんの服を作った楽しさが忘れられずに今も縮緬や絣、銘仙を洋服やバックに作り変えているんです」と教えてくれた。
地元九州には全国的に名の知られた伝統の博多織、久留米絣、大島紬など数多くの織物がある。沖さんはそれらの伝統素材もリメイクに使っている。「織元さんが『こんなに良いものなんですよ、活かしてください、手間をかけて作っています』と自信をもって言ってくれるのです」
それらの伝統的織物も取り入れ、タンスの中で忘れられていた着物や、呉服屋さんの倉庫で眠っていた反物を、洋服として蘇らせている。
沖さんはリメイクの仕事について「忘れられていた着物や反物が人のぬくもりと陽をあびて輝きを取り戻す。私はその瞬間に立ち会えるこの仕事を愛し楽しんでます」と語ってくれた
(ライター/本名広男)