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「株式会社 シーティーシー」 代表 渡部里司氏
大学卒業後、ベアリングメーカーの計測事業部に7年間勤める。その後別の会社を経て、1984年に独立、「株式会社 シーティーシー」を設立する。
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世界でも数社しかない技術をもつ企業が
多角的製品開発で海外市場をねらう
世界的な技術力を持ち、様々な製品を開発するものづくり企業「株式会社シーティーシー」。
窒素充填技術を応用して「米の缶詰」を開発したり、
胡麻の低温生搾り技術の製法特許を取得、目指すは世界市場だという。
ものづくりの会社「株式会社シーティーシー」は1984年の創業より、飲料関連の設備機械と検査機の開発、製造を手がけている。非無菌の液体窒素の充填技術をもつ会社は日本では2社のみであり、さらに無菌室で無菌を保ったままの液体窒素の充填技術となると、世界に目を向けても同社を含め2社しかないという。渡部里司社長は窒素充填技術を次のように解説する。
「当社は大手飲料メーカーの生産ラインで、製品に液体窒素を充填し、その後確実に窒素ガスが充填されているか検査する工程を担当しています。窒素は味もにおいも色もない気体で、体への影響もありません。これを容器内の空気と置き換えることにより、食品の酸化を防ぎ、美味しいままの状態を保てるのです。もうひとつ大事な機能があり、強度の低い容器でも、窒素ガスが容器の内側から張りを持たせ、形を保つことができるようになるのです。当社のこの技術は無菌状態では世界でも我が社を含め2社しかできない技術なので、世界的なニーズが見込まれると期待しています」
この窒素充填技術を応用して、新しい商品開発にもチャレンジしている。
「それは窒素を充填したお米の缶詰、『米缶・新米旬缶』です。その特徴は缶内が無酸素状態にあることです。現在あるメーカーの強力を得て、無酸素状態で害虫の卵の死滅試験を行っています。この試みが成功すれば、海外に米を輸出するときに散布されている毒性のある殺虫剤が不要になります。厚労省では残留殺虫剤が身体に影響を及ぼすレベルではないとの見解ですが、リスクは少ない方がいいですね。またお米には精米前から虫の卵がついている事が多く、精米しても除去できないようです。お米を長く保存しておくと虫が湧くことがありますが、それは外からのものではなく、もとから付いている卵由来です。当社の米缶内の無酸素状態で卵を死滅すれば、卵から虫が孵ることはありません。なお我々は日常的にご飯と一緒にこの卵を食べているのですが、ご飯を炊くことで安心して口へ運ぶことができます。虫の発生を抑え、新米の風味を長く保てる『米缶』は、備蓄食糧として最適で、海外向けとしても徐々にニーズが高まっているのです」
世界的な技術を扱うため、渡部社長は、海外に行くことも多く、ある時スリランカで新しい製品のアイデアを得る。
「これはまったくの異分野ですが、肌に使うセサミオイル商品を通販で扱っています。スリランカに行ったときにアーユルヴェーダで使われているセサミオイルに興味を持ちました。このセサミオイルは胡麻を搾って作るのですが、その工程ではかなりの熱が出てしまい、有用な酵素が壊れてしまうのです。そこで当社では、胡麻を搾る時の温度としては低温の30度で生搾りができる技術を開発し製法特許を取りました。現在は15度という低温で搾れるようになっています。この低温で作った『低温生搾りセサミオイル』は酵素が壊れずにそのままなので、有用な働きが期待できるのです。これに紫根などを加え、肌にやさしい商品として多くの方に利用いただいています」
世界的な技術を誇る「株式会社 シーティーシー」はその開発力で、多彩な製品を世界に送り出す実力を備えた企業なのだ。
(ライター/本名広男) |
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