ずっと在宅で生活を続けてほしい
介護利用者に最後までサービスを
『介護サロンはやぶさ』は、居宅支援事業所を持ち、訪問介護事業と通所介護事業を行っている。
保険対象外のサービスも行っており、そのきめの細かいサービスで地域の支持を得ている。
村上正子代表に設立の動機と介護へ向かう姿勢を伺った。
介護の世界に入ったばかりの村上正子代表は二度にわたり、会社都合での訪問介護の仕事の頓挫を経験、利用者が困っているのを目の当たりにする。
「介護の仕事は途中でやめてはいけないと思いました。しかし雇われではどうすることもできない。それで自分で訪問介護の事業を立ち上げるしかないと思い、5年前に『介護サロン はやぶさ』を設立しました」
介護の事業では、訪問介護での在宅のサービスが一番大変だという。介護の資格をもった方でも在宅での介護には引く方が多い。
「私が訪問介護のヘルパーをしていて経験したあるおばあちゃんの訪問介護のケースですが、そのおばあちゃんは人を試すのです。訪問したらそのおばあちゃんが『今日は頼むことがないからそこに座っていて』というのです。1時間半のサービスなのですが相手先のお宅で何もしないで座っているというのも大変です。これが3日続いて。4日めに『高野豆腐炊いて』と。そのおばあちゃんは昔病院の調理を担当していた方で、料理にこだわりがある方だったのです。高野豆腐は柔らかく炊かないといけない。そのように炊けと。とりあえずそれに合格したのですがそれでやっと、その日からご飯を作らせてもらえるようになったのです。おばあちゃんは病院に入ることになるのですが、私にずっと介護にこいと。そしておばあちゃんが危篤になったときに呼ばれまして、最期を看とらせていただきました」
村上代表は、このおばあちゃんのように、ご縁があってお客様になられた方には最後までサービスをしたいという。
「そのためには、利用者がいるのに途中でサービスを止めてしまうというのが私の一番避けたいことなのです。利用者に最後までサービスを利用していただく。利用者は今まで生活してきた住居で最期を迎えたいというのが本心でしょう。そういう方々に訪問介護で一日でも長く在宅で生活していただきたいというのが私の願いなのです。利用者の一人ひとりと最後までご縁をつないでいければと思います」
(ライター/本名広男) |