四姉妹のお姫様とコミカルなウサギのキャラクターは地元でもたちまち人気者に。

とっとり山の手物語」のモデルとなった白亜の洋館「仁風閣」。

『ブリリアント・アソシエイツ』
代表取締役 福嶋登美子さん


地元の観光ビジネスを
盛り上げて地域活性を目指す

　某ケータイ電話のＣＭで一躍話題となった鳥取県。はわい温泉もさることながら、鳥取には見る・食べる・遊べる観光地がたくさんある。まず代表的なものといえば「鳥取砂丘」だろう。長い歳月をかけて生まれた砂丘はなんといっても鳥取県のシンボル的存在。広大な砂丘から見える風紋や砂簾は自然が生み出す芸術作品といえるだろう。
　また、鳥取藩主池田光仲が創建した「鳥取東照宮（樗谿神社）」は、蛍が見られる夜の人気名所。ほか、「鳥取城跡・久松公園」や「仁風閣」、町屋が点在する「鹿野城下」の町並みも風情があり散策にオススメだ。
　そんな歴史と自然がもたらす観光スポットが目白押しの鳥取県だが、実は「まんが王国とっとり」としても知られている。
　世界を代表する漫画家・水木しげる先生や谷口ジロー先生、青山剛昌先生らを輩出した地として、今秋は「国際マンガサミット鳥取大会」の開催が決定。それに伴い、２０１２年夏より「国際まんが博」も実施。鳥取県はとびきり熱い夏を迎えるのだ。
　そんな地元・鳥取県の観光事業を盛り上げたい、と立ち上がったのが『ブリリアント・アソシエイツ』代表取締役社長の福嶋登美子さん。鳥取市内に飲食店２軒とエステサロンを経営する敏腕社長だ。思いついたのは鳥取の観光スポットを巡回するバスがあれば、初めて鳥取を訪れる人も便利に観光巡りができるのではないかと、早速行動に出た。

少女マンガ風のキャラクターを
デザインして観光客にインパクトを

　誕生したのは８人乗りの周遊バス。なんと少女マンガ風の四姉妹が描かれたれた可愛らしいデザインの周遊バスだ。これは「まんが王国」として盛り上がる鳥取で地域おこしができないかと福嶋社長が考案したもの。過去にも『ブリリアント・アソシエイツ』では、地域おこしの一つとして、鳥取の海の地域資源「ハタハタ」を活用して「市場料理・賀露幸」で鳥取の食をＰＲしてきたが、今回は鳥取の文化を女性の視点でアピールできないかと思案したのだ。
　その発想のキッカケとなったのが、福嶋社長が友人と「仁風閣」へ訪れた時のことだったそうだ。
「この鳥取の歴史を物語る「仁風閣」で鳥取を盛り上げてみたら？」
　そんなひと言からこの一大プロジェクトはスタートした。
　明治40年、鳥取池田家の第十四代当主池田仲博侯爵が建てた白亜の洋館は、いかにもロココ調のお姫様が住んでいそうな雰囲気である。そこで「仁風閣」に住むオリジナルキャラクターの四姉妹「とっとり山の手物語」を思いついたのだ。
　登場人物は、妹想いでバイオリンが得意な優しい長女、優梨華。華やかで明朗活発、ワルツを踊るのが好きな次女、舞梨華。自分の世界を持つ、絵を描くのが好きな三女、砂梨華。おしゃまでみんなに愛される末っ子の莉梨華。そして、因幡の白兎をモチーフに誕生した白亜の洋館で働くウサギの仲間たち。それぞれが個性を持つキャラクターを確立させ、白亜の洋館を舞台にした物語を作り上げたのだ。キャラクターデザインも、もちろんオリジナルで作るという徹底。本格的にこのプロジェクトは始動したのだ。

美食・文化・癒しを巡る鳥取観光

　そんな四姉妹が描かれた周遊バス「華貴婦人号」が案内する観光スポットは、鳥取空港から出発する。まず最初に訪れるのは鳥取の食・鳥取港海鮮市場内にある「市場料理賀露幸」。鮮魚店、飲食店、加工食品店等が並び、店では毎朝水揚げされたばかりの新鮮な魚料理が堪能できる。人気メニューは、松葉ガニの甲羅にイクラを乗せた旬の刺身たっぷりの「賀露幸名物海鮮丼」。華鰰鮨・天ぷら・サラダ・味噌汁・香の物が付いた「賀露幸名物華鰰定食」もボリューム満点で海の幸が堪能できる。
　また、鳥取港海鮮市場に出れば、鳥取の名産、松葉ガニや干物、ちくわなどの購入が可能。地方発送も受け付けてくれるため、お土産を買い揃えるならここがオススメだ。
　続いては古民家を改装したアートギャラリーカフェ「大榎庵」へ。アート作家の作品も展示される店内は、大正ロマンを思わせる心落ち着く空間で、ランチタイムには、三段お重に手まり寿司が入った「大榎膳」のほか旬の食材を取り入れた彩り豊かな季節限定メニューもあるのでこちらも楽しみだ。
　また食後の一服はサイフォンで淹れた香り豊かなコーヒーで贅沢な寛ぎの時間を。時間があれば「とっとり山の手物語」の舞台となった「仁風閣」に訪れるのもいいかもしれない。フレンチルネッサンス様式の木造瓦葺の洋館は当時の宮廷建築第一人者といわれた片山東熊工学博士が設計したもので、明治洋館風建築最高の傑作と自ら評している歴史的建造物だ。
　最後は、「ホテルニューオータニ鳥取」内にあるエステティックサロン「サロン・ド・アルーア」。輝く女性のためプログラムを提供し、プレミアムな時間が過ごせると人気のサロン。なかでもフェイシャルからデコルテまでをケアする「貴婦人トリートメント」のコースが好評で、鳥取観光の疲れを癒すのにはピッタリの場所だ。エステティシャンによるオールハンドのテクニックが心地良く、四姉妹のような優雅な気分が味わえる。

姫キャラが鳥取ブランドに
ますます人気が高まる四姉妹

　ところで白亜の洋館を舞台に登場するのは、美しい四姉妹とその洋館で働くうさぎたちだ。四姉妹をそれぞれ違うタイプに想定したのは、誰もが自分のキャラクターに重ね合わせやすくするため。こうしてできあがった「とっとり山の手物語」は、今や周遊バスだけでなく鳥取ブランドを展開するイベントや、ペットボトルの商品キャラクターとして起用されるなど鳥取市の看板商品になるほど人気を集めている。白亜の洋館で働くファンファーレ隊長のチャールズ君は、現在開催中の「第５期展示 砂で世界旅行・イギリス」のオープニングに登場し、砂の美術館のＰＲ部隊・応援団長としても活動中。
　この美術館は、世界で唯一の砂像展示専門の全天候型・屋内美術館であり、今回新設された施設の中に、砂でできた砂像が展示されている。今回のテーマは、ロンドンオリンピックがあるイギリスの「語り継がれる大英帝国の反映と王室の誇り」。チャールズ君も応援団長として鳥取知事、鳥取市長と共にテープカットを行った。
　ちなみに、この物語のためのテーマ曲「翔け鳥の唄」は、オリジナルバイオリン曲として作曲されている。曲名は鳥取県の県章である飛ぶ鳥をモチーフにしており、今回はそれに物語のための歌詞が作られたそうで、現在レコーディング中だ。さらに絵本、ぬり絵が登場するなど、人気を集めている。
　金属加工業からアートの分野、今後はさらにサービス関連の新しい事業を立ち上げている『ブリリアント・アソシエイツ』。福嶋社長は「会社としても、また実行委員などの任意団体としても、鳥取の良さを広めていきます。そして『華貴婦人号』に地域おこしの希望をのせて、山の手に運んでいきたいです」と語った。
（ライター／小野寺香織）

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