大西敏広代表 介護者の労働環境を改善し、利用者に良質なサービスを提供している。

環境整備と助け合いで質の高いサービスを実現。
心のこもったサービスのために頑張っています。


　高齢化が急速に進む日本。総務省が発表した２０１0年9月15日現在の推計人口によると、65歳以上の人口は前年より46万人多い２９４４万人となり、総人口に占める割合は23・1％と過去最高を更新した。２０１５年には団塊世代がすべて65歳以上となり高齢者人口が急増する。２０３０年には65歳以上の高齢者の人口割合が28パーセントを突破すると予想されている。このため介護・福祉職の需要は高まり、２０００年に介護保険制度が導入され、民間の社会福祉事業が広がりを見せている。しかし本来、やり甲斐がある仕事であるはずの介護職が、実際の現場ではなかなか労務管理等の整備が追いつかず、過酷な労働や十分なケアが行き届かない等、介護をめぐる環境には厳しい現実がある。
　そんな中、訪問介護を中心に介護事業を行う介護・福祉事業会社『アドニスライフ』代表大西敏広氏は、そうした状況を払拭するような介護事業を行っている。「すべては生活に幸福を招くために」という経営理念を掲げ、利用者はもちろんスタッフすべてが幸福な生活を送れる会社を目指している。
　大西代表は、29歳のときに介護業界に入り、介護業の厳しい現実を知る。自身が目の当たりにした介護の現場は、自分を必要とし感謝の言葉をかけてくれる利用者がいることにやり甲斐を感じつつも、その仕事は一人ひとりの負担が大きく、そのため利用者へのサービスも十分に行うことが難しい。また労働に対して報酬がみあっていない。その中で、このままではいけないと考えた大西代表は、自分の求める質の高い介護、利用者もスタッフも幸せになれる介護事業のあり方を模索していくことになる。
　介護を行う人間が、心おきなく働いて力を発揮し、利用者が十分なケアを受けることができる職場をどう実現するか。大西代表は、介護のＳＮＳ（ソーシャル・ネットワーク・サービス）のサイトを立ち上げ、介護の分野で活躍している人たちが意見交換する場とした。そこに志を同じくする方たちが集まり、あるべき介護について日々議論を行われた。それが『アドニスライフ』と、同社が運営する介護ヘルパー事業所「つくしケアサービス」の設立につながったのだという。
「『アドニスライフ』で働いている人は、ＳＮＳで知り合った方や、その友人の方々と、みな知り合いなのです。従業員というより大切な仲間。私たちは利用者の方の心に寄り添ったサービスと、スタッフが安心して働ける理想の職場づくりのために独立を決意したのです」と、大西代表。
「介護職はサービス業」という大西代表は、あるべき介護の職場を語る。
「介護スタッフは介護支援だけをしていればいいというものではなく、サービス業のプロとして利用者が良質なサービスを通して幸福な生活を送れるようにしてほしいと思います。そのためにはスタッフも満足して力を発揮し、働ける職場でなくてはなりません。当事業所では、スタッフの勤務態勢、収入面を工夫して、スタッフみんなが助け合い、一人ひとりが自分の力を発揮できる仕組みづくりを考えています」
　現在『アドニスライフ』が運営する「つくしケアサービス」では、名古屋事業所の他に、千葉事業所が開設され半年目。大西代表は事業を軌道に乗せるため、また、新規スタッフの研修で千葉勤務をメインにしているが、成果は思ったより上がっているという。現在スタッフは5名で、不定休の24時間体制。地域のニーズに合わせさらにスタッフの募集を行い、20名ほどに増やす予定とのこと。同社の介護サービスのあり方に、地域から期待が寄せられている。
『アドニスライフ』の事業は確実に広がりを見せている。その理想も大きく広がり、介護業界の質の向上に貢献していくだろう。
（ライター／本名広男）

株式会社 アドニスライフ

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